亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

内外ゴールド新値更新、海図なき航海  

2024年10月21日 20時22分40秒 | 金市場

週明け21日のNY金は、時間外取引となるアジア時間から買いが先行し最高値更新の流れが続いている。

現在日本時間の20時だが、ここまでのところ2751.70ドルが高値となっている。

 

先週後半から続いているNY金の上昇だが、米国を中心に特段の金融経済のリスク要因が高まったわけではなく、中東を中心とする地政学リスクにも大きな変化の見られない、いわば無風状態の中での最高値更新となった。

買いの手掛かりとなっているのは、複合的なリスクに対する安全資産としてのヘッジ買いで、先週は特に約3週間後に迫った米大統領選挙と議会選挙の不確実性に備えるポートフォリオの見直しに際して、金(ゴールド)に買いが入ったとみられた。週末の引けは2730.00ドル、高値は2737.80ドルでいずれも最高値更新だった。

 

金融市場で緊張が高まる出来事や地政学リスクのさらなる悪化を思わせる中東情勢の動きなど、特定できるイベントが起きたわけではなく、いわば平時の高値更新といえるもの。

市場の内部要因としては、過去にも書いたが市場で蔓延している異例の先高感も無視できない。センチメントが押し上げる形の高値更新だが、含み益を抱えながら先高感ゆえに売りが出てこない。これは需給上リサイクルあるいはスクラップと呼ばれるジュエリーを含む金製品の売りなども価格高騰の見合った売りが出てこない。一方で昨年比でペースは落ちているとみられるものの、新興国中央銀行による買いは続いている。こちらは、外貨準備のポートフォリオの組み換えで値上がり益目的の買いでないゆえに、買われたものはそのまま市場から消える。

そして、言うまでもなく鉱山生産は、臨機応変に生産量を調節できない。

いずれにしても足元の現物市場は供給量が減っていると思われる。したがって値動きは軽くなる。

そこに北米の機関投資家の資金がETF(上場投信)を経由して流入している。さらに前週は先物市場で1週間で70トンも売りに回ったCTA(商品投資顧問)など短期筋が再び買いに回っているとみられる。

 

同じタイミングで、ドル円相場が8月上旬以来の一時150円超などドル高円安に振れていることから、国内金価格にはダブルの押し上げ要因となり、大阪取引所の先物価格JPX金も10%税込みで表記される現物の店頭小売価格も連日の最高値更新となっている。

 

需給の締まった新値街道直進の金(ゴールド)価格は海図なき航海

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