goo blog サービス終了のお知らせ 

亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

デルタ株と長期金利急低下で一転リスクオフ 

2021年07月09日 20時23分55秒 | 金市場
日本政府が東京都に4回目の緊急事態宣言を発令した8日のNY市場は、にわかに膨らんだが新型コロナウイルス・デルタ株に対する警戒感もあり、リスクオフ・センチメン支配されることになった。前々日辺りから低下傾向が鮮明になっていた米長期金利が下げ足を速め、NYの早朝の時間帯に瞬間タッチで1.246%と1.25%を割り込む荒れた展開となったことも、景気の先行きに対する懸念を深めさせた。需給要因主導ではあろうが、基準金利の低下は先行きの景気減速を表すシグナルとも受け止められるもの。今回の長期金利の下落が、6日に発表されたISM非製造業景況指数が、過去最高を記録した5月分から3.9ポイント落ちて60.1となったことを受けて加速したこともある。仮に米国の回復ピッチの(他国との比較上の)高止まりが続くにしても、ピークアウトしたとの印象は拭えず、長期金利は下げていると解釈できることによる。

そこに早い時間に発表された新規失業保険申請件数の予想外の増加が伝わり、株式市場では一斉に利益確定に傾き、幅広く下げに転じたものと思われる。ダウ30種平均は一時400ドル安まで売られた。具体的に何か悪材料が出たわけではないが、マイナスのベクトルを足せば結果的に目立ったリスクオフ・ベクトルになっていたという感じの下げに思う。いわば、「水鳥の羽音に驚く(平家物語・富士川)」ような感じで売られたというところ。自分に言わせれば、ここまでさしたる好材料の見当たらない中でも過去最高値の更新を続けてきた米国株式市場だが、相応の警戒感も一方で高まっていることを思わせる。

昨日は米長期金利の急低下もあってロンドン時間から上げ足を速めたNY金は、NYの午前半ばまで1810ドル台で推移し、一度は1819.50ドルと戻り高値を更新していた。昼前にcash-out(現金化)のような売りが膨らんだのは、リスクオフ機運の中でNY金は5連騰の後ということもあったろう。下げの内容からしてロボットトレードと思われるが、マイナス圏から節目の1800も割れるとアジア時間の安値下回ることになった。通常取引は1800.20で終わったが、その後の時間外で1803.10ドルで終了していた。

なお米労働省が発表した週間ベースの新規失業保険申請件数は37万3000件と前週から増え、市場予想(35万件)も上回った。前回分も36万4000件から37万1000件へ上方修正された。強気の市場見通しに対し、現状認識を迫るような結果で、改善に向かっている米国だが、その動きは一様ではないことを表している。

本日は米国関連で主要な経済指標の発表はなし。1800ドルを挟んだ攻防という感じ。昨日、売られたドルがどうなるか。
ng>
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« FRBの迷いを感じさせたFOMC議... | トップ | どう読むか?分かれる見通し  »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事