goo blog サービス終了のお知らせ 

亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

WSJ報道で1300ドル台復帰のNY金

2019年01月28日 23時17分20秒 | 金市場
先週末現地時間25日の早朝に米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた、FRBは2016年10月から開始している量的引き締め策(バランスシートの縮小=市場からの資金回収)を予想より早い段階で終了することを決める調整に入っているとした記事は、このタイミングではややサプライズといえるものだった。

今週開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)では、すでに1月4日のパウエル議長の発言にて利上げに対し慎重スタンスに転じていることが判明していることから、その程度と3月の会合での政策方針(利上げ見送りなど)を示唆する内容となるのか否かに関心が集まっていた。バランスシート縮小の一時停止あるいは終了という議論は、その先にあるとの認識ゆえに、“議論を前倒し”という報道に市場の反応度も上がることになった。12月中旬に開かれた前回のFOMC以降のFRB内部の政策方針の軟化は急激で、想定外の株価の急落に危機感を高めたことを表す。カンザス連銀のジョージ総裁やクリーブランド連銀のメスター総裁など「超」がつくタカ派まで、ここにきて声を合わせて「(利上げに)忍耐強くなれる」としていることは、警戒レベルの高さを表すということだろう。

1月7日(月)にここで、

『2018年に資産インフレ(株価の上昇)を止めたのは、利上げではなく「量的引き締め(バランスシートの縮小)」に転じた金融環境にある。したがって、利上げ回数が減るだけでは、(下げ過ぎた反動でもある)目先の反発こそあれ、本格的な株価の出直りにはつながらない』

と書いた。

やはり、量的縮小の見直しは、株価の上昇が企業の資金調達を通じ、景気の押し上げにつながっていた環境の逆回転をFRBは放置できずということだろう。少なくとも、逆回転を促すような政策をFRBが取るべきではないという認識が広がったということだろう。金市場には追い風となるもので、節目の1300ドル突破ということになった。

ついでに書いておくと、25日はドイツのIFO経済研究所が発表した1月の業況指数が予想の100.6をも下回り100を割り99.1と、2016年2月以来の低水準に落ち込んだものの、ユーロドル相場に目立った変化は見られず金価格への影響も見られなかった。前日、ドラギECB総裁が記者会見で弱気見通しを語ったことで、ユーロは先行して売られていた経緯がある。

ユーロ圏の指標の悪さは昨年秋から明らかになっているもので、すでに織り込み済み。足元で起きているものは、「良かった米国指標」の減速、悪化というもの。相場の材料としては、こちらの方が新鮮で材料になりやすい。この内容は、先々週17日に、ラジオNikkeiの「マーケット・トレンド」にて触れたので、参考までに文末にオン・ディマンドのURLを張っておきましょう。

なお先週末は、トランプ大統領が折れる形で3週間の「つなぎ予算」が成立、一部政府機関の閉鎖は解除されたが、いうまでもなく“目先の混乱回避”という色合いが濃く、先送りの弥縫(びほう)策ゆえに実質的な問題解決には至っていない。右派からのメキシコ国境への影建設のプレッシャーは強く、来年の選挙を考えると引けない話。あっと言う間に2月15日は到来する。


1月17日放送 「追い風が吹き始めた金市場」
http://www.radionikkei.jp/podcasting/trend/2019/01/player-2019117.html

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« “急激な”巻き戻しは怖い | トップ | 弱気のドラギ証言でもユーロ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事