亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

弱気のドラギ証言でもユーロは下がらず金も上昇

2019年01月29日 21時57分16秒 | 金市場
節目の1300ドル超えということで、さすがに益出し売りも見られ、28日のNY時間の取引に入ってすぐに売られた金。それでも安値は1296.50ドルまでで、キャタピラーの決算が振るわなかったことでダウが大きく下げて始まると、金は反発ということになった。それでも1301~3ドルのところで売り買い交錯と値は重かった。しかし、それも本日のアジアの後半、ロンドンの時間帯には売りをこなし、徐々に水準を切り上げている。日本時間の29日21時時点でスポット価格で1308ドル前後での推移となっている。

29日は、ドラギECB総裁が欧州議会で(景気の現状認識などの)証言にたち、「ここ数ヵ月、入手したデータは弱い」「世界的な不確実性が経済心理の重しとなっている」とし「大規模な金融刺激策が依然として不可欠」などとしたが、ユーロ相場に目立った反応は見られなかった。
この辺りは昨日書い展開で、悪いには分かっている・・・ということ。むしろ、NY時間にユーロは対ドルで上昇したことで、金には押し上げ要因となった。ここまでのユーロ安からドル安に地合いが変わっているわけで、ユーロの状態に変化はない。ドラギ総裁の発言内容にしても、前週のECB理事会後の記者会見と大きな違いはなかった。

一方、米国をみれば35日間におよぶ政府機関の閉鎖は一応止まったものの、2月15日まで3週間の期限を切った交渉に妥結の見込みは薄いとみられる。トランプ大統領は、メキシコ国境の壁建設費用について譲るつもりはなく、目的達成のためには国家非常事態宣言も辞さない構えとされる。このドルが抱える問題が、ユーロ圏の指標の悪さへの関心を上回り、為替市場ではユーロドルを押し上げ、ドル指数(DXY)の下げをもたらし金のサポート要因となっている。それでもドル指数はなお95ポイント台を維持している。

本日は米検察が、法人としてのファーウェイと例のカナダで捉えられたCFOを訴追を発表。明日から閣僚級の米中通商交渉が始まるタイミングでのこの動きに、市場はどうしても警戒モードになるわけで、金が強含みに推移したのも、このあたりを映してのこと。なお、29日はETFの最大銘柄「SPDR(スパイダー)ゴールド・シェア」の残高が5トン超増え815トン台に乗って来た。新規資金の流入を示し、金市場におけるセンチメントの上昇につながる動きといえる。

本日29日に予定されていた、トランプ大統領による一般教書演説は延期となっている。日本時間の明朝には、Brexit修正案の採決。イベント目白押し。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« WSJ報道で1300ドル台復帰... | トップ |  日本目線では理解不能のBRE... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事