欧米メディアでも金価格上昇の背景を説明する際に通貨の「代理」を意味する“surrogate”、“proxy”などの単語が頻繁に登場するようになってきた。経済用語の言うところの「代替通貨としての金」への着目。
金市場では前日に発表された9月21日のFOMC議事録にて示されたFRBの追加緩和に対する積極姿勢を材料にした買いが続いている。緩和策に対して予想外に賛同者が多かったこと、さらに物価水準を足元の低水準から引き上げる手段も論議されていたことが、緩和策の規模拡大観測を生むことにつながりファンドの買い攻勢を持続させている。先に発表された日銀の資産買い取り策の拡大も合わせて世界的な緩和合戦というイメージが高まれば高まるほどに、そうした通貨大増刷に無関係な「金」の存在を浮き立たせるという流れ。
ペーパー・マネーの洪水のなかで浮かび上がる金。
定期的な供給者(売り手)はIMFのみ、とここで取り上げたが、このところの価格上昇にもかかわらずインドなどアジア地域でも高値期待が高まっており、これら地域でも(半ば投資家の)消費者も宝飾品の換金売り(統計上は「スクラップ」)を手控えていると見られることが、足元の需給を締めていると思われる。
大きな流れは2007年秋の上昇に似ているといえる。皆半信半疑のなか上げていったが、過熱度合いは今のほうが遥かに強い。昨夜はCRB指数が約2年ぶりに300ポイントに乗せたが、全般金融相場の中にある。株はパッとしないがコモディティ全般が上げ潮。
追加緩和見通しに乗る形で11月決算に向けヘッジファンドは書き入れ時。
金は1380ドル突破。
ドル円は動けぬ日本国財務省を試すような揺さぶりの80円台。振り子(ドル円)は振り切れるところまで行かないと、戻ってこない。