本日の日経朝刊が7ページ国際面で取り上げていた「世界の家計資産、5年で6割増」という囲み記事。クレディ・スイスが試算したもので2010年から5年間で家計資産は世界全体で61%増え315兆ドルに達するとした。円換算で約2京5700兆円となる。伸びの中心となるのは言うまでもなく新興国で、とりわけ中国を筆頭にアジア地域となっていた。現在2位の日本は2015年には中国に抜かれるとしている。そうだろうと思ってはいたが、具体的に数字が示された点が参考データとして使えそうだ。ちなみに家計資産ということで金融資産に不動産などの非金融資産を合計し負債を引いて算出としている。不動産その他の非金融資産の全体に対する割合がどの程度かを知りたい。
この手のデータに、足元の世界の金融資産は200兆ドル超というものがあった。マッキンゼー・グループがまとめたもので1990年の48兆ドルから20年で4倍に増えたということだった。対して世界経済の規模(GDP)すなわち実体経済はこの間に2.7倍になったとのことで、金融市場の増殖ぶりを示すデータとして提示されていたもの。
これら2つのデータは、いずれも試算あるいは推計なので誤差は覚悟という世界。いずれも大まかなガイドラインを示すということ。それでも肥大化する金融の状態を示している。
札は、物理的にどれだけでも印刷することができる。実際にFRBは今年の3月までに日本円にして約150兆円ほどを新規に印刷し世間に撒いた。対して金は世界中の鉱山会社が、がんばって掘っても2600トン程度産出されるのみ。時価にすると約9兆円しか1年で増えない。どんどん薄まる通貨価値にさすがに不安を覚え金の保有を考える投資家が増えたのが過去2年の動き。
だから、またFRBが札を刷ってばら撒くという話に金市場は反応した。しかもばら撒きの規模(緩和策の規模)が1兆ドルを超えるなどという話まで飛び出し、規模の大きなものを材料に取り込むという相場の習性もあり1350ドル超へと駆け上がった。
その織り込んだ11月のFOMC。週末ボストンでのバーナンキ議長の講演は、メディアは実施に前向きと報じた。確かに話し言葉を文字にするとそう解釈できた。しかし、確約したわけではない。それが織り込み済みの市場にとっての最大リスク。20日に発表予定のベージュブック(地区連銀経済報告書)の結果が大きな判断材料となる。