先週末5月6日に米国株式について書いたが、本日は日本時間の早朝から米系メディアが株価先物の下げを盛んに報じている。現地は8日日曜日だったが、この時間はすでにNYも早朝7時前で通常取引開始まで2時間半余りだが、ナスダックは約2%、250ポイントほどの下げ。S&P500は67ポイント安、1.6%の下げで4051。
S&P500は機関投資家がベンチマークにしており、4000ポイント割れとなると、センチメントはさらに悪化する可能性もありそうだ。バンク・オブ・アメリカの調べでは、21年中に米国で株式ファンドに1兆1000億ドル(143兆円)の資金が流入し、平均買いコストがS&P500で4274ポイントとしている。この水準は終値ベースで既に2月23日時点で下回っており、それから上下動を繰り返しながら、徐々に水準を切り下げながら先週は4123ポイントとなっていた。直近のザラバ安値は5月2日の4062.51で本日の先物は現時点までで一時それを下回っている。 もっとも、このところ値動きは荒いので日本時間、明朝5時の引けを見ないといけないが、米株は行き詰っているのは否定できない。さすがに年初までの成功体験が根強く残っており、押し目買いを入れる投資家も多かったと見られ、投げには至っていない。
(そう言わざるを得ないのだろうが)ソフトランディングに強気発言のパウエルFRB議長も肝を冷やすような下げというと表現がよろしくないが、気に掛けるであろう水準は3600ポイント程度という話もある。 終値ベースで3837割れが弱気相場入りとなる。いずれにしてもバンカメの指摘した昨年の新規買い平均4274ポイントにつき、多くの投資家が評価損を抱えることになる。
何ゆえこのような内容を書くのかというと、先週大きく株が反落する中で米債(米国債)も大きく売られ利回りが急騰したからだ。FRBがこの1カ月でさらにタカ派化したゆえに長期債を中心に売られているということもできるが、一方で米債から資金が流出しているという言い方もできるわけで、米国債=安全資産という図式でなく、買われ過ぎていたものを売る動きが始まっている可能性も否定できない。 つまり全体的に手仕舞いモードに入っており、それゆえに流動性の高い(換金しやすい)金ETFにこのところ断続的な売りが出ていると思われる。先週も書いたキャッシュアウトの流れといえる。
今週は11日の4月のCPI(消費者物価指数)、12日の同PPI(生産者物価指数)とインフレ指標の発表が続く。仮に3月よりさらに加速しているなら、金利上昇は続き波乱含みに。逆も値動きは大きくなり、いずれも荒れそうだ。