亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

ドル独歩高とNY金、追い詰められる日銀 

2022年05月10日 20時08分38秒 | 金市場

週明け5月9日のNY金は3営業日ぶりの反落となった。主要通貨に対するドル高の動きが継続しドル指数(DXY)が104ポイント台と、さらに2002年12月来の高値を更新したこと。終盤にはやや上昇が一服したものの米10年債利回りが一時、3.2%を超える水準まで上昇。NY時間外の先物時点から売られていた株価の下げが拡大し、原油など商品価格も手じまい売りされる中で、NY金も売りが先行した。株安は比較的利益が乗っている金の換金売りを促す。

1880ドル台半ばで取引を開始した金は、NY時間外のアジアからロンドンの時間帯を通して水準を切り下げながら進行。NYの早朝には30ドル方水準を切り下げたところで、一度は反発。NYの午前の時間帯は1860~1870ドルのレンジ内での取引だった。しかし午後に入り株式市場が下げ幅を拡大する中で、水準を切り下げた。ただし、安値は1851.00ドルまでで、前週のFOMC前にみられた1850ドル割れには至らなかった。

 

ドル高というと日本国内ではドル円の急騰から対円でのドル高を連想しがちだが、足元で起きているのはドルの独歩高。主要通貨全般に対して買われている。それがドル指数(DXY)を約20年ぶりの水準に押し上げている。9日は一時104.187まで水準を切り上げ直近の高値を更新。ここまで5週連続で上昇している。投資家がリスク資産の取引解消に向かう中でドル需要の高まりがドルを押し上げ、同時にドル確保の金売りにつながっている。

値動きが荒くなっているものの冒頭で触れたように10年債利回り(長期金利)は、一時3.2%まで上昇。3月初旬は1.6~1.7%で推移していたが、そこからほぼ倍の水準に達している。つまり値下がりしていることになる。当時(といってもわずか2カ月前ですが)マイナス利回りだったドイツ10年債も今や1%台まで上昇。

投資適格債で構成される債券ETF(上場投信)のLQDにしても、年初から15%の値下がりとなっている。一般的に債券運用は安全というイメージがあるが、金利上場局面では下げが大きくなる。そもそも債券相場自体が、カネ余りでこの数年水膨れした水準まで買い上げられていた。

大量の日本国債(533兆円、4月30日時点)を抱える日銀が、利回りを0.25%に抑えるオペレーションを頑なに行っているが、利回り上昇(価格の値下がり)を容認できないという側面がある。政策金利の上昇は準備預金に付けている利息(付利)の上昇を意味するが、保有国債の利回りは0.2%を下回っている。利上げするとすぐに逆ザヤ状態となり、赤字決算が現実のものとなる。米国はじめインフレが世界的な問題になっているが、この面でも日本がガラパゴスというわけには行かないだろう。日本の長期金利にも上昇圧力がかかっているが、いつまで抑えられるのか。

話は変わって日本国財務省のデータでは、邦銀などの外国債券(中長期債)投資は年初から4月下旬までで計5.5兆円規模の売り越しになったとされる。大部分が米国債とみられるが、決算対策が功を奏したのかもしれない。というのも結果的に大幅値下がり前にかなりの金額を売り抜けたことになるからだ。

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