今度もまたNY時間外の取引で商いの薄いタイミングを突いた売り攻勢でテクニカルが悪化、ファンドのストップロスの売りを誘発し、一方通行的なモメンタム・トレードで崩そうという試みが見られ、一段階レンジが切り下がることになった。
昨日の日本時間16時前のことだったが、一度に出された大量の売り注文にサーキット・ブレイカーが作用し20秒間の取引中断に。この時に4300枚(1枚=100オンス)が出合ったとのことなので東商取(トコム)に例えるならば1万3000枚強(重量換算13トン強)の取引が1分間で成立したことになる。まさに“板を浚う” 状態であり、掃き清められる(sweeping)イメージだ。結局、これで先週後半から下値メドになっていた100日移動平均線(1355ドル)も心理的節目の1350ドルも一気に下切り、以降はストップ・ロスの嵐となった。何度も繰り返されてきたことが、また起きた。そうなると4月中旬さらに6月下旬の動きがトラウマ状態のファンド以外の投資家は一斉に脇によってしまう。その薄い中を値を消す展開。
前日の11日にゴールドマン・サックスがコモディティのレポートを出しており、全体は「ニュートラル」としたが金については来年に向けて売られるとなっていたと。理由は年始から同じで、米国の経済活動の加速と金融緩和の縮小。卵が先かニワトリが先か・・・というようなタイミングの良さではある。
結局、金価格の水準は8月中旬にWGC(ワールド・ゴールド・カウンシル)が4-6月期の需給データを公表し、予想以上の新興国実需の高まりを好感する形で1350を上に突破した、その前の段階に戻ったことになる。いわゆる「行って来い」状態だが、過去1ヵ月の歩みが振り出しに戻り、FOMCの洗礼を受けることになる。現時点での妥当価格を探る金市場。その前に1300ドルの攻防戦。