亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

米金利上昇は『大いなる安定期』とブラックロック

2021年04月20日 22時49分38秒 | 金市場

週明けのNY金はドルインデックス(DXY)が91.03と6週間ぶりの安値に下落する中で、1790ドルを越えたものの維持できなかった。さすがに、週間ベースで昨年12月中旬以来の上昇率(といっても、2%だが)となった前週の動きに対し、利益確定の売りが出たのと、そもそも上昇の背景が、ファンドのショート(売り持ち)の買戻し(ショートカバー)とみられたことも、買い一巡後の上値を限定的なものにしたと思う。先週末の引けはテクニカル面で明るさを示すものであることから、週明けの市場ではフォロー・スルー的な動きが起きてもおかしくないと思っていたが、不発に終わったということか。 金買いの背景を取り上げるなら、この日はドル安だった。対ユーロで弱含みに推移し、ドル指数が91.03と6週間ぶりの安値に下落する中で、金はロンドンの午前、NYの早朝にプラス圏に浮上すると一時は1790.40ドルと2月25日以来の高値圏に浮上した。しかし、1800ドルに近い水準ゆえに売り物が控え、しばらく1790ドル近辺に滞留したものの、米10年債利回りが上昇し一時1.617%を付けると金は1770ドル割れを見るところまで逆に売り込まれることになった。結局、1770.60ドルで終了ということに。ちなみにユーロドル相場は1.2038に上昇となった。ユーロが1.20ドルを越えるのは3月4日以来のことだが、どおりでDXYの動きがドル安方向に強めに出たわけだ。 一方、この日の債券相場については、先週15日に1.528%と数週間ぶりの水準まで低下した(価格が上昇)こともあり、売り優勢となり1.6%台に利回りは上昇。21日に240憶ドル(約2兆6000億円)の20年債入札が予定されており、市場の関心を集めている。連邦政府の財政赤字拡大の中で高水準の入札(発行)が続く予定で、その結果は今後も市場の材料となりそうだ。 米長期金利については、15日に世界最大の運用会社、ブラックロックが「私たちが新興国資産に強気の理由」と題したメモを公表。その中で、米国の金利上昇は米連邦準備理事会(FRB)の緩和姿勢により「大いなる安定期に入る」と予想している。ワクチン接種の拡大を受けた経済正常化、景気浮上の中でもFRBによるコントロールの下、長期金利上昇加速はなく、緩やかな上昇にとどまり、安定的な市場環境が続くという見立てだが、果たしてどうなるのか。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« NY金、懐疑の中で1770ド... | トップ | 節目のNY金を刺激するリスク... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事