亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金上昇に中国要因浮上 

2022年12月28日 20時54分41秒 | 金市場

クリスマスの連休明け12月27日のNY金価は続伸では前週末比18.90ドル高の1823.10ドルで終了。ドルがユーロに対して弱含みに推移する中で、中国政府が週明け26日、新型コロナ対策の一段の緩和方針を示したことが、同国の実需を刺激するとの見方が買い手掛かりとされた。確かに、同じ材料で27日は中国の石油需要が上向くとの期待から、米WTI原油が一時81.18ドルと約3週間ぶりの高値まで上昇する局面が見られた。ただし、その後は売りに押され前週末とほぼ同じ水準の79.53ドルと再び80ドル割れで終了。いわゆる“行って来い”状態だった。

 

そういう面ではNY金も似たような動きだったとも言える。NYの通常取引入り後しばらくは売りが先行したものの、午前9時を過ぎたあたりから反転し、そのまま一本調子で水準を切り上げ約1時間半後には1841.90ドルとこの日の高値に。その後は終盤に向けて、利益確定とみられる売りに上げ幅を削りながら相場は進行し終了した。18.90ドル高での終了につき、“行って来い” とは言えないものの切り上げた水準は維持できなかった。1841.90ドルは、 12月13日に付けていた直近高値の1836.90ドルを上抜き、6月27日以来6カ月ぶりの高値となる。

 

本日28日を含めNY市場の営業日は残り3日。昨年末の終値は1828.60ドルなので、年始の水準に位置しており、年足でみて22年の寄りは1830.10ドルなので、それ以上で終えて陽線(上昇)ということになる。ちなみに手元のデータでNY金は、クリスマス休暇明けから年末までの取引(ほぼ年末最終週)で、2016年以降21年まで6年連続で上昇となっている。2010年以降の12年間でも9勝3敗と年末に向けて上昇して終了のパターンが多い。

 

ダウ・ジョーンズなどが、27日のNY金上昇の背景に中国需要の高まり見通しを取り上げたのは、確かに納得はできる。というもの中華圏では今回年明け1月22日が春節入りとなるが、足元で手当て買いが入っているとみられる。つまり金市場は季節要因により需給が締まる時間帯に入っていると言えるわけだ。

中国国家衛生健康委員会が26日に発表したのは、新型コロナ対策として行っている入国時の隔離措置を来年1月8日から撤廃するというもの。いわゆる水際対策を大幅に緩和することになる。新型コロナ感染症の管理対策の分類についても、現在の最も厳格な部類から1段階引き下げると発表した。新型コロナの病原性が弱まり、徐々に一般的な呼吸器感染症に変化するとみられるのが、変更の理由だとしている。白紙を掲げた同時多発的な抗議活動に警戒感を高め、一気にゼロコロナ策を撤回したが、報じられているように中国では感染拡大が爆発的に広がり、都市部を中心に医療機能がマヒ状態にあると伝えられている。政治的な失策に対し、一般国民が黙っているのが不思議だが、事態は進行中でどのように収束していくのか見ものではある。政府(北京)発表の感染者数や新型コロナによるとみられる死者数が、地方政府の発表値と大きくかい離しており、情報の信頼性が大きく低下しているが、この辺りも含め事態はどう進むのか。

 

22年は、金貨や地金など個人による現物需要が高まったが、ドル独歩高の裏の減少として、各国通貨が大きく減価し、インフレも加速する中でのことだった。そのヘッジ(対応策)としてのゴールドへの関心の高まりは、それが正解だったことから、ゴールドの優位性が広く一般に認識された年となった。

中国経済が傷んだことは間違いなく、23年はどの程度の回復となるのか見方が分かれるが、金需要を高めるのは間違いなさそうだ。NY金の下値を支える大きな要因でもある。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 再び1800ドル割れ、PCE... | トップ | 2023年、NY金(ゴールド... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事