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亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

強烈な逆風の中で1800ドル台はキープしたNY金

2022年05月20日 19時50分21秒 | 金市場

NY金はやっと相応の戻りを見せた。前日には2020年6月以来の下げとなっていたダウ30種やS&P500種など米国株式市場が、この日はやや落ち着いたものの、年初来安値を連日で更新。特に多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種は年初1月3日の高値からここまで約18%の値下がりとなり、20%以上の下落を基準とする弱気相場入りの水準に接近。さすがに金市場には買いが見られ、金ETF(上場投信)の最大銘柄「SPDR(スパイダー)ゴールド・シェア」の残高は4月20以来1カ月ぶりの大幅増加(6.97トン)となった。5月に入り前日まで13営業日中11営業日で残高を減らしていた。

 

先週まで独歩高を続けていたドル指数が目立って下落したことも、金市場では買いの手掛かりとなった。NYコメックスの通常取引は、前日比25.30ドル高の1841.20ドルで終了した。米10年債利回りが3週間ぶりの水準に低下したことも押し上げ要因となった。

この日の金市場はドル指数の反落もありNYの早朝に前日比プラス圏に浮上すると、そのまま静かに水準を切り上げた。珍しく終盤に向けて派手さはないものの一貫して上昇し、昼前には1848.20ドルを付け、これがこの日の高値に。通常取引を1841.20ドルで終えた後の時間外でも水準を維持し時間外取引は1840.40ドルで終了した。1850ドルが上値の抵抗ラインになっており、これを週末に向けクリアできれば面白いのだが。。。。。

 

ドル指数(DXY)はこの日一時102.657を付け5月5日以来2週間ぶりの安値となった。ドルは日本円とスイスフランに対して急落。対円で3週間ぶり、対スイスフランで2週間ぶりの安値を付けた。対ドルでユーロは1週間超ぶりの高値に。ドル指数は前日の終値から1.05%下げたが、1日の下落率が1%を超えたのは今回を含め過去5年間で6回のみとされる(ロイター調べ)。そんなものかと、これは意外だった。

一方、10年債利回りも一時2.775%まで下げ2.832%で終了。終値ベースでは4月28日以来の低水準となる。つまり5月の連邦公開市場委員会(FOMC)前の水準に戻ったことになる。10年債金利(利回り)が1日でこれだけ下がると、前日の米小売ターゲットの決算悪化があったばかりでもあり、逆の意味で先行きの景気の陰りを連想することになる。

 

その意味でこの日発表された米国関連の経済指標は軒並み冴えなかった。

5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は2.6と、4月17.6から予想以上に低下し2020年5月以来2年ぶりの低水準となった。16日に発表されたNY地区連銀製造業景況指数が予想外のマイナスに落ち込んでいたが、後追いとなった。製造業に陰りが出ている。ここまでのドルの強さも負担ということか。雇用が3月の1968年来の最高水準41.4から25.5に一気に低下。一方、出荷は35.3と、19.1から上昇、新規受注は22.1と、17.8から上昇したことは安定材料となる。

5月7日までの週次の新規失業保険申請件数は21万8000件と予想外に増加し、4カ月ぶりの高水準に達した。失業保険申請件数も減少が一段落し、増加傾向にある。また全米不動産協会(NAR)が発表した4月の中古住宅販売戸件数は年率換算で前月比2.4%減の561万戸と、2020年6月以来の低水準を付けた。減少は3カ月連続となる。住宅ローン金利の上昇や原材料価格の高騰で価格も過去最高(中央値39万1200ドル)を更新していることが影響しているとみられる。全般的にインフレの影響が広がっているイメージだ。

いずれにしても強烈な逆風の中で1800ドル台はキープしたNY金ということに

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