昨日は最後に「本日の株価の展開が見もの」書いたが、米国株は終盤に向けて一貫して下げることになった。前日17日の反転はやはり多くが懸念したベア・マーケット・ラリーということだった。ブル・トラップとも表現できるだろう。それにしても米国株は「茹でカエル」の寓話のような展開で、適当な戻りを入れることで投げ売り殺到という形にならず、底打ちシグナルが出ないうちに、気が付けば水準が大きく切り下がっており、何のことはない「緩慢なバブル崩壊」が進行中ということだろう。気が付いた時には時すでに遅く、カエルは大きな痛手を被っているという展開か。それでも、やはり最後は値動きが早くなるタイミングが来るのではないかと思う。
米主要株式指数は軒並み大幅安で、ダウ30種は1164ドル安と、下げ幅は2020年6月以来、約2年ぶりの大きさとなった。ハイテク株など高PER(株価収益率)銘柄の売りが加速したが、この日4.7%の下げとなったナスダック総合は、2021年11月につけた過去最高値を29%下回ることに。年初に過去最高値を記録したS&P500種は、年初来で約18%の下げとなる。
株式と同様にリスク資産に位置付けられる原油先物まで売りが拡大するリスクオフセンチメントの広がりの中で、為替市場ではドルが買われドル指数(DXY)は103.810と4営業日ぶりに反発。金の上値を抑えた。NYコメックスの通常取引は前日比3.00ドル安の1815.90ドルで終了した。この日の金市場はNY時間外のアジアからロンドンの時間帯は売りが先行する流れとなった。ただし、NY時間に入って以降は株安のリスクオフ環境の中で買いが優勢になりプラス圏に。午前の段階で一時1822.90ドルまで買われたものの、その後は売り買い交錯状態となり、そのまま終了となった。結局、通常取引は前述のように小幅安ということに。その後の時間外取引でも目立った動きは見られなかった。
この日は米債市場も不安定な値動きで、米長期金利の指標10年債利回りは一時3.011%まで上昇。午後に入り株安がさらに進展すると(安全資産として)買いが入り一時2.880%と大きく下落。引けは2.970%と寄り付き時点の水準近くに戻った。
先週はバンク・オブ・アメリカが市場の状況につき「すべて売り」とキャッシュ・ポジションを上げる投資家動向をレポートしていたが、金市場に関しては金ETF(上場投信)の最大銘柄「SPDR(スパイダー)ゴールド・シェア」の残高が5月に入りほぼ連日2~7トンの減少(売り)が見られてきたが、18日は10営業日ぶりに減少が止まった。
この日の下げの引き金を引いた小売大手ターゲットの第1・四半期(2─4月)決算は、純利益が前年同期比52%減の10億1000万ドル。見通しを下方修正し売られた前日のウォルマート決算と同じく賃金と輸送コスト増が圧迫要因となったとされる。ターゲット株はこの日だけで24.9%の下げと大きく売られることになった。先日のネットフリックスと同じように今回のバブル崩壊の象徴的な存在ということか。
買い手不在の中で値を消す展開で、この日の株式市場全体を見ると震源地の小売は元より全面安状態となった。ここまで運用コストを抑えつつ良好なパフォーマンスを得られるということで、インデックス買いに沿った株式ETFが人気(パッシブ運用)で大量の資金流入が続いてきた(21年株式ファンドだけで1兆1000億ドル流入、BOA調べ)。足元で起きているのはETFの解約売りにより、すべての銘柄が同時に売られるという状況だろう。問題は大きく下げる中で反発期待も根強いことから、出来高が伴っていないということ。冒頭で書いたように、損失覚悟の売り(投げ)が広がっていないとみられること。つまり底打ちのシグナルが確認できていない。ということで、本日も米株の行方は要注目。
NY金の1800ドル割れと国内価格の7500円割れが重なることになったが、先週13日に7500円割れはエントリーレベルとした。同じことを書くが、国内では8000円超で大騒ぎだった(広くメディアで取り上げられた)。こうして下がると音なしの構えだが、中長期の上昇を見込む投資家はこうした局面で買いを入れている。