ゼロ金利のみならず株式ETFや不動産投信(リート)まで購入の対象に入れるという日銀の量的緩和競争への参戦表明で、金市場も予備のブースターに点火となった。燃料の持続が不確かだった11月FOMCエンジンには、入れ替わり立ち替わり各担当技師が燃料の注入を行っている。エンジンの過熱を恐れる技師は傍らでその姿を冷ややかに見つめている。いよいよもって織り込み度は上昇、市場の期待を違えるような方向がリスクとなってきた。
米紙ウォールストリート・ジャーナルのインタビューに答えたシカゴ連銀のエバンス総裁が、FRBが想定した以上に高水準を続ける失業率と物価水準に触れ「一段の措置」を講じる必要ありとしたが、この人は8月下旬にも同じような発言をしており、当時は「2010年の経済成長は下方修正されるだろうし、追加の政策が必要」としていた。今回の発言はその延長線上のもの。ダドリーNY連銀総裁も同方向だが、反対派の外堀を埋めているような感じだ。
ただ、それだけではこの段階で1350の突破には弱いと見られたときに、よもや(及び腰だった)日銀まで“本格的に乗り出す”とはというサプライズが加わった。
ドル円相場については、やはり“振り子は振り切れるところまで行かないと戻ってこない”としたことに変化なし。昨夜の米ADPデータでの民間雇用がプラス予想のところマイナス3万9000人に振れたのがきっかけになったか。後は第2、第3の介入を期待してドル買い入った向きが多いようなので、その逆噴射(投げ)が動きを加速させるか否かというところ。介入対する批判的な見方が国際政治の舞台でも高まってきているので、出難いところを衝かれるという流れ。
金市場のほうは今週は連日アジア後半からロンドンで動きが出ている。本日は輸入を禁止しているベトナムで輸入再開も?というニュースを囃しているよう。連日手替わりの飛び乗り(そして飛び降り)の割り切り相場(モメンタム相場)。
我らが日銀が最後のワン・ピースをはめて、この金の加速を作ったというふうに捉えている。ゼロ金利などと宣言しなくとも元々オーバーナイトの金利は実質ゼロだった。