注目の9月の米雇用統計は報じられているように、予想を超える9万5000人の雇用減少となった。予想値は5000~1万人の減少だったので、予想外の悪化ということになる。ちなみに前月は5万7000人減少だった。9.7%への悪化が予想されていた失業率は横ばいの9.6%となった。今回の雇用統計は表面的な数字よりも内容が問われるものとなった。
民間部門は前月比6万4000人の増加となったが政府部門は全体で15万9000人の減少。差し引き9万5000人の減少となる。その政府部門では夏前から国勢調査の臨時雇用の期限到来による減少が目立っていたが、今回の話題は地方自治体の職員数の減少(解雇)。ネットで7万6000人の減少。財政の赤字が賄えず予算カットがそのまま職員の減少となっている。以前から財政均衡法の下、年度の予算にメドが経たないとゴミの収集が減ったりなど公共サービスの低下のみならず、警察官や消防士の数が減ったりという米国。今回は9月の新学期を機会に約5万人の教職員が職を失ったとされる。
財源難の地方政府が空港や保有するビルあるいは動物園などまで売却や証券化で資金調達が伝えられており、これでもまだ連邦政府が予算を回しいているので主なニュースとして流れず日本では注目されていない
雇用統計でのもうひとつのポイントは、職が見つからず已むなくパート・タイムについたり、職探しを諦めた人(統計からは外れる)という人々を含めた広い意味での失業率が9月は目立って上がったこと。米労働省では「U-6」としてクラス分けされているが、なんとか雇用jされていると呼べる状態の人も実質失業とカウントすると9.6%の失業率は17.1%となる。これは最近では09年10月の17.4%に次ぐもの。
さて、この結果を受けて株などは下がるどころか、11月の追加緩和の可能性がさらに高まったということで買われるという不自然な流れ。FRBは雇用の安定も政策目標に持っているため、このところその部分を指摘してのFRB関係者の緩和策実施に向けた発言が増えているが、昔ならばFRBによる資金供給も比較的閉ざされた環境の中で目立った効果があったろうが、グローバル化で環境が大きく変化しており、ばら撒かれたマネーは効率運用を、あるいは投資対象を求めて新興国に流れるという図式。果たして国内雇用に目立った効果が期待できるのか。