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亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

混乱を招きそうな臨時FOMC開催意向  

2022年02月14日 20時38分17秒 | 金融市場の話題

先週末11日のNY時間外で、金は20ドル強の上昇となった。にわかに切迫感をもって伝えられたウクライナ情勢についてのホワイトハウスの情報がきっかけになったのは確かだろう。ちょうど週末の午後という時間帯ゆえに、オリンピックの終了を待たずにウクライナ侵攻もと言われれば、感覚としてファンドは宵越しのショートは危なくて持てない・・ということになったのだろう。

見事にリスクオフに転じた金融市場では、株安の進展とともに前日まで売りが先行していた米債市場では、いきなり買い優勢の流れに転じ価格は急騰し利回りは急低下した。つまり11日はウクライナ情勢の緊迫化から米国債には安全資産としての買いが入り、価格は急騰し利回りは急低下という図式だ。

11日の10年債利回りはNY午前から2%台で推移、お昼前には2.064%と19年8月1日以来となった前日の水準も突破していた。それでも金は、動きは鈍いながらも前日終値近辺での取引となっていた。株が下げ足を速めたのは午後の13時過ぎ頃だったようだが、10年債がストンと2%を割れると1.95%まで落ちるのは早く、そのまま1.913%まで低下。NY金は20ドルほど棒立ちとなり、そのまま1860ドル台を維持して時間外取引を終了ということに。

地政学リスクの高まりで、金市場で安全資産としての買いが起きたのは間違いではなかろう。実際に冒頭で書いたように交戦状態となれば一過性にしても“吹く”と思われ、危ないのでショートカバー(手仕舞い)ということだが、米債の動きにともなったアルゴリズムの買いも相応に押し上げたと思われる。

何はともあれFOMC直前の1月25日の終値1852.50ドルを上抜いたことで、この値位置を見て俄かに表れる売り物を消化するのとして、どの程度かかるか。今週は本日14日以外は、連日注目データやFRB関係者の発言など、イベント週につき値動きはそれなりに出ると思われる。

もっとも、「本日以外は」としたが、日本時間の本日深夜1時半からFRBボードメンバーによる非公式臨時会合が持たれる予定にはなっている。先週10日時点で告知されたもので、予想を上振れたCPIを受け種々現状分析と検討ということか。先週は2年債と10年債利回り差が一気に縮まるなど目立った動きも出ており、FRB内でも危機感は高まっていることと思う。

臨時会合で思い出したが、先週10日の米CPI後のセントルイス連銀ブラード総裁の7月までに合計1%(100bp)の利上げが必要との発言は報じられたとおりだが、同総裁はFOMCの臨時会合の可能性も示唆したとの話もある。現時点では3月(15~16日)のFOMCが節目の会合として捉えるものの、例の「nimble(鋭敏に、機転を利かせた)」対応となれば、それもあり得るということのようだ。

なるほどと思っていたなら、11日にはサマーズ元米財務長官も臨時会合の開催をすべしと発言。外野からいろいろ発言しては注目を集めるのだが、やはりCPIの加速を受けたもので、臨時会合を開催して量的緩和(QE)プログラムを終了させ、インフレ抑制への決意を強調するべきだとしている。「インフレ率が7.5%に達し、労働市場は過去数十年で最もひっ迫しているのに中央銀行はなおバランスシートを拡大させている。全く馬鹿げている」という発言は、確かにその通り・・・という内容ではある。しかし、臨時会合開催でQEの前倒し終了・・・というか突然終了は、いかにも性急な引き締めを思わせ、かなり株を中心にガタガタすると思われリスキーではある。なんだか、ウクライナもそうだが、こちらも煮詰まってきているようで・・・・。

ちなみにウクライナ情勢は、冬季オリンピックをきっかけにした中ロ首脳会談にてロシアは中国の支持を“明示的にも取り付けたかたち”ゆえに、油断しない方がよさそうだ。何と言われようと力づくで既成事実を作り上げ、その状態を維持して時間軸で暗黙の了解を取り付けようとするやり方は、言うまでもなく南シナ海での中国のやり方でもある。米国の“相対的な”弱体化とともに、こうした行動が増えそうで、どう対応するか正念場ではある。

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