まず昨日取り上げた現地時間の14日午前11時半からのFRBの非公式会合だが、内容は不明だが推測という形で書くならば、明日16日に予定されている1月のFOMC(連邦公開市場委員会)議事要旨の公開にあわせて開かれた側面もあるのではということ。議事要旨であるからには言うまでもなく、何を話し合ったか、どんな意見が出たのかということを公開するものだが、そこにはFRBとして現在市場に伝えたいこと、織り込ませたいこと、内容が盛り込まれると以前から捉えている。つまりマーケットとのコミュニケーションツールを目的としているのは言うまでもないが、何らかの意思を潜り込ませているのではと思っている。
足元ではやはり、喫緊のテーマとなったインフレ抑制に対するFRBのスタンスを示すというものだろう。 ここにきて連日に渡り、件(くだん)のセントルイス連銀ブラード総裁のメディア・イクスポージャーが増えているのだが、14日も経済チャンネルCNBCが取り上げていた。内容的には10日の1月のCPI(消費者物価指数)7.5%の上振れを受けて「劇的に」タカ派に転じたとしていた内容と同じで7月1日までに100bp(ベーシスポイント、1.0%)の利上げが必要というもの。さらにバランスシートの縮小を4~6月期に開始することが望ましいというものもある。こうした内容は、時系列からは10日発表の結果を受け、タカ派化が進んだと解釈できるが、果たして議事要旨の内容はどうなるのか、個人的には警戒モードというのが正直なところではある。
本日のNY金はNY時間外のアジア時間に1880ドルを越えて昨年11月の高値をクリアした。昨日からウクライナ情勢の緊迫化を受けて市場横断的にリスクオフ・セントメントの広がりの中で買われたが、前週末時間外の20ドルほどの急伸は、先物市場におけるファンドのショート(売り持ち)の買い手仕舞い(ショートカバー)とみられるだけに、3カ月ぶりの高値水準を維持する買いが継続するか否かが注目された。地政学リスクを手掛かりにした上昇については、事態進展の織り込みが進むのが通常の材料に比較して早く、値動きは荒れやすい。ただ、足元の水準はテクニカル上の節目に位置しており、超えるとファンドの買いプログラムがヒットし上値追いの可能性も残ると思い見ていた。ショートカバーに新規買い(フレッシュロング)が加わり、そのロングは緊張が高まったり、仮にロシアが侵攻などとなった場合に利食いの回るのではないかと・・・。
結局、日本時間の夕刻に、ロシアの一部部隊がウクライナ国境から撤収という一部報道があり、NY金はその後、売りが先行する流れに転じている。緊張緩和となると、米国債が売られ長期金利も上昇ということに。ウクライナ情勢については、米ロを中心に様々な当事者が自らの思惑も含め情報発信をするため、その真偽は見極めにくく、高度な総合的判断を求められる。起きる事態を客観的判断という以外、術なし。
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タイトルは「ウクライナ情勢で上がる金と16日のFOMC議事要旨は要注意」