亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

FOMC裏読み 「利上げなし」の背景

2019年01月31日 20時41分14秒 | 金市場
注目の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、ハト派化を印象付けた。パウエル議長自身による年初の発言やFOMCメンバーも講演などで、それぞれ口をそろえるように、利上げ判断には「be patient(辛抱強くいられる)」としていたので利上げの停止はすでに織り込み済み。市場が予想あるいは期待した方針転換(ハト派化)に対し、いわば満額回答以上のものになった印象の結果となった。

先週1月25日にウォール・ストリート・ジャーナルが、量的引き締め(資産縮小)の終了についても前倒しで協議すると報じ、にわかに注目度があがったマネーのコントロールも、声明文内に別枠で資産縮小に関する方針を公表、「経済活動や市場動向に応じて、バランスシートの正常化の詳細を修正する用意がある」とした。記者会見でパウエル議長はこの件について、「当初の予測よりも早期に資産縮小を停止する」とし、声明文より突っ込んだ発言だった。経済環境やインフレ率から考え「利上げの可能性は弱まった」とも明言した。

ちなみに12月の記者会見では、「資産縮小は順調で(市場への影響もなく)見直す予定はない」としていた。機械的に粛々と資金回収しており(オートパイロット状態)、今後も続けていくという内容の発言をしていた。わずか6週間で、大きく方針転換したことになる。利上げの一時停止というよりも、利上げサイクルの終了を意識させるような内容といる。もっとも、基本的には「指標次第」ということで、先行き何かあっても対応はできるから安心しなさいと市場をなだめ、すかしたといったところか。

米国の景気拡大は今年の7月で11年目に入り過去最長となる。しかし、年後半から来年とトランプ減税効果の薄まりや世界景気の減速から、米国自体の減速あるいは後退すら想定できる状況といえる。思うのは、FRBはその後の対応策まで視野に入れ、少なくとも金融正常化を前面に出した自らの政策で、この流れを加速させることは避けたいということだろう。

さらに、FRBは(早晩やってくる)将来の景気後退期でのデフレ化を恐れていると思われる。つまり「加速しない」あるいは「加速しなかった」インフレを懸念していると思われる。タカ派のメンバーが、ハトに変わった背景がこれだろう。つまり、インフレが加速する兆候が見られない限り、利上げはない。

金には居心地のいい環境といえる。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
«  日本目線では理解不能のBRE... | トップ | WSJコラムはパウエル議長... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事