報じられたように、注目の1月の米雇用統計は、(非農業部門)雇用者増加数が、前月比30万4000人と市場予想(16万5000人)を大きく上回ることになった。またか?!という印象。
というのも、年始の12月分の結果発表の際にも予想(18万4000人増)を大きく上回る30万人超(31万2000人)となり、サプライズとなった経緯がある。
ただし、この12月の数値は今回、22万2000人増に大きく下方改訂された。ブレの大きいデータゆえに、今回の30万4000人増も修正される可能性は大きいと見られる。
失業率については、4.0%に0.1ポイント上昇となったが、政府機関の閉鎖や職探しをする人が増えていること(労働参加率の上昇)から問題視はされなかった。意外性があるのが、平均時給の上昇率が前月比で前回の0.4%増から0.1%増に鈍化したこと。ここまで徐々に水準は切り上がってきたものの、依然としてインフレを加速するような勢いは見られない。30万人超の雇用増の評価も、これで割り引かれることになった。
先週末2日のウォール・ストリート・ジャーナルは、コラム(Heard on the Street)で、今回の雇用統計を受けパウエル議長が発したハト派的なメッセージは間違いで、後悔するのではないか・・とする記事が掲載されていた。FRBはトレンドを見ているわけで、雇用者の増加数だけでそういうことはなかろう。それにしても、データ次第というのは、クラリダ副議長が就任して以来高まっているスタンスで、必要あらば利上げに転じることもあるという含みを残すもの。
しかし、そうなると(ここまでの経緯から)波乱は必至で、難しいと思う。センチメント一発の経済ゆえになおさら。
ところで、冒頭で「またか?!という印象」と書いたが、今回の雇用統計の結果を見て、別のことも思い出した。
現地1月24日の午後に、大統領の経済顧問を意味するクドローNEC(国家経済会議)委員長が、「1月の雇用統計は著しい伸びが示される可能性がある」と発言していたこと。そのとおりの結果に、さすが!というべきなんだろうか。去年のいつだったか、大統領自身が前夜に雇用統計いいぞと、口(キーボード)を滑らしたことがあったと記憶している。だから今回、クドロー発言を受けて、当方の個人的な注目度はさらに上がった。歴代のNEC委員長は、この人ほど表(メディア)には出てこなかったと思う。