亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

 日本目線では理解不能のBREXIT談義

2019年01月30日 20時14分09秒 | 国際情勢
さてBREXITは、いつものようにいろいろ修正案や新たな提案がなされ、否決されたり可決されたりと・・・・で、可決されたものも「法的拘束力はない」となると、何ゆえ取り上げたのかと思ったりする。主張を形として残すということか。・・・・で結論は?というと、11月の合意案の前に時間を戻して再交渉ということに。以前から「これが最終案として合意済み」としているEU側はすぐに再交渉はしないと宣告。一方、英国側は3月29日の離脱期限の延長はしないことになったが、EU側は確たる事由を提示すれば「期限の延長は認める」と。かみ合わせの悪い展開で(今日のところは)終了。

要点は以前からひとつ。英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドの国境をどうするか。離脱するなら自由な人の行き来も、非関税の商取引も、法律上(条約)は出来なくなる。いまさら検問所を設けてというのも非現実的で、そもそもほんの20年ほど前まで宗教紛争で爆弾テロまで起きていた地域でもある。ならば、(そもそも残留派が多かったこともあり)北アイルランドだけ別扱いにするか、というと分断国家など認められないと猛反対の声が。

では、どうする?と言われてみても妙案はなく、ならば納得できる方策が見つかるまで英国全体をEU関税同盟に残すということに。残るからにはEUの指図を受け入れることになる。いやいや、それは飲めませんと。それなら、混乱覚悟で飛び出た方がましというのが強硬離脱派。それには網掛けしようと、「合意無き離脱」はしないことを可決。結局、もとに戻り「妙案が見つかるまでの間のEU側との関係をどうするか再交渉」ということに。

女王陛下の下での大英帝国は統治は独自に(EU拠出金は出さない)、貿易・投資に障壁はなく、人の出入りも自由(しかし移民はノー)を認めてくれないかというcherry-picking(ええとこ取り)の主張。

おいおいおい、そんなに揉めるなら離脱しなきゃいいじゃないか。国民投票をやり直そうぜという声も高まり・・・。ところが、これも簡単ではない。そもそもの始まりは、キャメロン元首相が議会をまとめきれずに悩んだ末に、“決断を国民に丸投げ”というリーダー不在が招いたもので、国民投票自体が異例のものだった。

そもそも日本には「主権在民」を謳った日本国憲法があるが、英国にはない。法律や国際条約、慣習などのうちで領土や主権の在り方に関するものを積み重ねてきた総体がいわば憲法。つまり単一の成文憲法はない国。そもそも主権は議会にあるとの考え方が強いとされる。そもそも「女王の議会」という意識が残る。したがって国民投票は、議会が主権を投げ出したという側面も。その判断は重い。メイ首相が、「国民投票を2度やるのは民主主義にもとる」と反対するのは、こう考えるとわからんでもない。そもそもがキャメロンのミス。金は買われる。

以上、当方の知識を基に独断で書いたもので、誤認があるやも知れず取扱注意ということで。

さてFOMC。今回から毎回議長の記者会見付き。先週のWSJの観測記事が効いている足元の金市場。早く寝ましょう。

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