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亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

アルケゴスの破綻、キャッシュアウト連想で売られた金

2021年03月30日 18時59分02秒 | 金市場
週明けのNY金はこのところのレンジを下回ることになった。1月中旬以来の定番の材料、ドル高に米長期金利の上昇が売り要因となったものの、足元でにわかにノイズレベルを上げた、金融市場の動きに反応することになった。運用面でヘッジファンド類似の「ファミリー・オフィス」に分類される米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントに関連した騒動がそれ。このファンドが、(投資損失の拡大により求められた)追加の証拠金の拠出要請に応えられず、強制的手仕舞いといえる資産の投げ売りを余儀なくされる事態に至ったことが表面化したもの。資産(株式)の処分は、先週末26日に米投資銀行ゴールドマン・サックスにより、市場外の相対取引によるブロック取引で行われたことで、市場への影響は目立たなかった。

週明けになって野村ホールディングスが先週末に20憶ドルの損失が出た可能性を公表、合わせて社債発行の中止を発表。続いてクレディ・スイスも同様に損失発生の可能性を公表。こちらは野村の倍の規模になる見通しだと。この両者の発表で、市場で何が起きているんだ??ということになった。足元でも時間の経過とともに徐々に内容が明らかになるだろう・・・程度の進展となっている。

それにしても、手仕舞いされた株の規模が100憶ドル(約1兆1000億円)ということが、市場に少なからぬ疑心暗鬼を生むことになった。他にも表面化していない、同様の損失を抱えたファンドが存在するのではという疑念がくすぶる。

話をNY金に戻すと、こうした投機的取引の破綻に関連し、過去に現金化が容易なことから金が売られた(キャッシュ・アウト)事例が連想されたことが、金市場の地合いを悪化させることになった。26日は、おそらく目先筋が、金先物の売り建て(ショート)を増やしたと思われる。突っ込んだところは、買い戻す(カバー)と思われるのだが、どうなるか。29日の終値は1714.60ドルと20.10ドル安に。本日30日は、ロンドンの時間帯に入って日本時間18時の時点で、米長期金利が年初来の水準を上回る1,778%まで上昇し、ドル指数も93.17と昨年11月上旬の水準に上昇という、金にはダブルパンチ状態につき、1700ドル割れの水準まで売られている。ファンドのショートカバーなのか、押し目買いなのかどのあたりで反発となるか。

アルケゴスに関連しては実態は未だ不明だが、全般的な傾向としては長期にわたる超緩和環境の下で、収益性を高めるためにレバレッジを利かせたポジションが膨らんでいるとみられ、今回の事例がいわゆる「炭鉱のカナリア」ということも考えられ、市場全般へのウォーニングといったところか。それにしても、そう知られたファンドでないにもかかわらず、ポジションを閉じる際の規模が100憶ドルというのも、水面下では予想を大きくこえたトレードが行われていることを表している。しかし、このところたいした波乱もない中で、何をどうして損失を出したのか、知りたいところだ。
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