亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

金融的アプローチだけでは見えない金の価格動向

2021年03月31日 20時49分39秒 | 金融市場の話題
3月初旬に続きNY金は再び1700ドル割れとなった。30日には前日比28.60ドル安の1686.00ドルで終了。終値ベースでの1700ドル割れは3月8日以来のこと。この2営業日では46.30ドル、2.7%下げたことになるが、米長期金利の上昇にドル高が重なり、ファンドのプログラム売りが出た。10年債利回りは、ロンドンの時間帯に入ったところで騰勢を強め1.775%水準まで切り上がり、その後1.178%に達した。その時点で時間外のNY金は1700ドルを割れ、NYの通常取引に入り、安値は一時1678.30ドルと3月8日以来3週間ぶりの水準に低下。その後は長期金利がやや低下したもののドル指数が93ポイントミドルで高止まりする中で金の反発力は弱く、1680ドル台を横ばいで推移し、そのまま終了となった。

直近の安値は終値ベースで1678.00ドル、ザラ場(取引時間中)で1673.30ドル。ダウ・ジョーンズなどでは1670ドル割れれば、結構下に行くという見立てを流していたりするが、どうかな。むしろ、ここから長期金利がさらに上がる中で、どこまで売られるのかという方が興味がある。ここからそれほど下げないと思っているのだが。

1700ドル割れではアジア実需の買いが控えているが、今週に入っての2営業日の下げは、短期のショートを建てたものと思われるので、ファンドは小刻みにカバーする(買い戻す)のではと思うが、どうなるか。

今日は、あるメディアの記者氏と話していて、ここからの金の下値は限定的ではと話したら、実質金利や名目の長期金利の上昇から、さらに下げるという見方が多いとのことだった。まぁ、そうでしょうが、あのね、金市場にはアメリカの長期金利など関心もなく、FRBが何たるかも知らない参加者がごまんと居て、金の現物を欲しがっているというのも考慮する必要があるのです、と話した。インドなど、これから4、5月が春の婚礼シーズンだし。したがって、欧米金融からのアプローチは、当方もするし、有効ではあるものの、それだけでは見誤るのではという話。

インドなど全人口が12億人とかいわれるが、実際にはどれだけいるかわからないという感じで、とにかく若者が多い。全人口の半分は24歳以下とされるので、6億人ほどが若年層となる。したがって毎年の婚礼といっても2000万組という話があり、日本目線では理解不能という側面がある。金の婚礼需要が昔から有名だが、昨年はコロナ問題で結婚式も先送りされた。この点、中国は一人っ子政策などという、今となっては愚策にはまり同じ年代は3億人台だったと記憶している。

いずれにしても、こうしたアジアを中心とした実需以外に、欧米投資家の中にも、さらに下げれば買いを考えている層もあると思われるので、早晩、金利上昇もドル上昇の中でも下げなくなる水準がどのあたりかを見極める必要がある。それを当方は、やや高めに見積もり、下げは限定的ではないかとみているという話。

今夜は、ADP全米雇用報告にピッツバーグでのバイデン演説と注目点多し。週末はGood Fridayで休場だが、雇用統計は発表される。NFP(非農業部門就業者数)はMAX100万人増などという予想も出始めている。バイデン発言のインフラ投資の内容がどうなるか。2本に分けて計4兆ドル規模との話も出ている。増税の話を出すのか否か。出すとすると、どのような話にするのか。財源の問題は、金市場の材料となる。

気が付けば、四半期末

「ゴールド・ボイス」は急遽1人バージョンで明日の夕刻更新予定。10分程度でアルケゴスなどをば。




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