亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

ネットショートからロングへ、NY金一時2000ドル突破

2023年10月23日 19時53分13秒 | 金市場

先週18日のオンライン・セミナーから出張含め連日予定が入っており、更新が滞りました。ただ、その間に国内価格は連日の最高値更新ということに。

 

先週末10月20日のNY金は4営業日続伸となった。中東情勢の一段の緊迫化への懸念を背景に比較上安全資産とされるゴールドに買いが継続し、一時7月末以来2カ月半ぶりの高値水準となる2009.20ドルまで買い進まれた。

急激に水準を切り上げたことへの警戒感から2000ドル超では売り買い交錯状態となったものの、一定の売りは消化し2000ドル超で滞留。終盤にかけてはさすがに大台維持とは行かなかったものの、切り上げた水準を維持して取引は前日比13.90ドル高の1994.40ドルで終了した。終値ベースで7月31日以来の高値となる。その後の時間外取引でも一定の売りを消化し横ばいで推移し、1993.10ドルで週末の取引を終了した。

 

先週後半にかけてのNY金の上昇は、一服状態となっていた米長期金利が再び騰勢を強める中でのこと。金利を生まないゴールドは一般的に米債金利の上昇とは逆相関性が強く、売られる傾向が強い。主にファンドのアルゴリズム(運用プログラム)による動きだが、そうした売買行動を取るファンドは、10月10日に至る2週間にわたり米長期金利とドル指数の上昇に反応し、すでに売り越し(ネットショート)に転じていた経緯がある。

その後のイスラム組織ハマスとイスラエル間の軍事衝突を受け、これら売りポジションが急速に買い戻され(ショートカバー)、しかも紛争拡大の可能性から新規の買い建て(フレッシュ・ロング)に転じたことで、NY金は急反発となっていた。

つまり、米長期金利上昇に対するNY金の逆行高は、弱気に転じていたファンドの買戻しと新規買いという金市場の内部要因の変化を映したものといえる。

 

現地時間先週末20日夕刻に米商品先物取引委員会(CFTC)が発表したデータによると、目先筋のファンドは、10月10日時点で重量換算で47トンの売り越し(ネットショート)から17日時点では130トンの買い越し(ネットロング)に転じており、この間のNY金上昇の原動力になったことを表している。目先筋だけで1週間に177トンの買いを入れたことになる。

その後の価格展開を加味するならば、さらに買いを進めたとみられ、ポジション(ファンド持ち分)は大きく買い越しに傾いたとみられる。

このように先週末20日の2000ドル超は、新規買いが積み増しされたことによる。中東情勢のさらなる悪化を想定した上でのもので、民間犠牲者増が予見されることから危惧されているガザ地区へのイスラエル軍による地上攻勢をも、織り込みにかかった結果と言えそうだ。

この点で目先の買いに一巡感が漂う時間帯に入っている印象が強いといえる。

 

予断を許さぬ地政学リスク拡大の中で、米下院では月初に解任された議長の後任選びが難航し、議会の空転が続いている。2024会計年度暫定予算切れとなる11月17日が迫るが、議会の正常化が間に合うのかさえ見通せない。

内憂外患の中で米連邦準備理事会(FRB)がデータに基づく判断を前面に押し立てる連邦公開市場委員会(FOMC)が来週に迫る。不透明感は高まっている。

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