常に拡大成長を求められる経済運営もシンドイね

このところFRB（連邦準備理事会）による住宅関連債券の買い取りが発表されたことに加え投資家のリスク回避の行動から米国債が買われた結果、市場金利が低下し、住宅ローン金利も連動して下げている。この流れは住宅ローンの借り換え申請者の増加が報告されるなど一定の効果を発揮しているとみられる。そうしたこともあり、週初めに急落した株価も下げ一服状態だが、商業用不動産価格の下落やそれにともなった関連債券の下落＝不良債権化も伝えられており、引き続き予断を許さない状況。もっとも借り換え申請者の増加といっても申請者すべてが借り換えを認められるわけではなく、貸し手の金融機関の余力の問題となる。それでも返済負担が軽くなる人が増えれば、単純に差し押さえの件数も減ることが期待できるということか。

住宅市場のテコ入れは金融市場および景気の面でもポイントゆえに、米国財務省はさらに政府系住宅金融ファニーメイとフレディマックの資金調達を通じて30年固定ローンの金利を４．５％に下げることを計画中とのこと。いまだスキームを詰めている途中とのことでブッシュ政権下で形にするのは微妙ということだが、政権末期でも案件が進行中ということは、素直に評価すべきと思う。金利を抑えることで借入額を増やせるため、より高額の物件を購入することに道を開くという狙いもあるようだ。もちろん物件購入者に限られるもので、既存の住宅ローンの借り換えには適用されない。

それにしても、この政策も政府支出で力づくで金利を押し下げるというもので、財政には負担が掛かるもの。ベージュブック（地区連銀経済報告書）では、高額商品の売り上げの落ち込みが指摘されていたが、金融サイドの与信の絞り込みが広がり、早い話がこれまでのように借金できなくなったということ。そこで今やろうとしていることは政府と中銀が音頭をとって、また借金できる状況を作ろうということに他ならない。信用危機で金融機能がマヒしたために現在が異常な状況に陥っていると見るわけだが、逆に今までの借金漬け消費が行き過ぎであって、それが通常の姿に戻りつつあるとの捉え方もできるもの。常に右肩上がりの成長を目指す市場経済の宿命のような政策対応のようにも映る。エライこっちゃ・・・なのだ。