亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

再び上値を試す金(インフレ判断がポイントのFOMC)

2021年10月19日 16時17分40秒 | 金市場

週明けのNY金は、ほぼ1770ドルを挟んだ値動きで、上下17ドルの間でのレンジ相場となった。1800ドル超まで駆け上がり、いわゆる「行って来い」状態となった後は、2週ほど前に滞留したレンジに舞い戻ったかのような展開となった。昨日は最後に、流れからすると、景気主導の長期金利の上昇も限定的と思われると書いたが、その通りなら金は再び上値を試すことになると思う。

18日は、このところのエネルギー価格上昇に刺激されたインフレ懸念の高まりが、米連邦準備理事会(FRB)の引き締め方向への動きを早めさせるとの見方もあり、NY早朝にかけて長期金利が一時1.62%まで上昇。その際に金は売られたが、下値は1760.30ドルと限定的だった。その後、FRBが発表した9月の鉱工業生産統計で、製造業生産指数が予想に反し低下したことが判明すると、長期金利は1.6%割れに低下し、ドルも軟化。金はプラス圏に浮上したものの上値は重く、前日の終値近辺で推移し、そのまま小安く取引を終了した。

9月の小売売上高は予想外の増加となったが、9月の製造業生産指数は予想外の低下となった。そしてこの両方の背景が、サプライチェーン問題による自動車生産の減少に関連するものだ。

小売売上高を押し上げたのがカーディラーの販売増だが、それは新車不足が販売価格を押し上げたことによる。その新車不足を表すのが自動車生産の落ち込みで9月は8月の前月比3.2%低下を上回る7.2%の低下となった。これが製造業生産指数を押し下げた。サプライチェーン問題の想定外の長期化が各方面のひずみを生んでいる。そもそも小売売上高は予想外の増加といわれても、背景を探れば前向きに評価できるものなのか疑問ではある。

今週は連日にわたりFRB関係者の講演が予定されている。来週は翌週に11月2~3日の連邦公開市場委員会(FOMC)を控え発言自粛期間(ブラックアウト)に入ることから、個々の意見表明が今週に集中するスケジュールとなっている。

先週発表された9月のFOMC議事要旨では、11月会合での決定を前提にテーパリング(資産買入れの縮小)開始時期を「11月中旬か12月中旬」と明記した。テーパリング開始についてFRB当局者の認識は一致している。一方で、インフレに関しては見解が分かれている。インフレ見通しの違いが、テーパリング終了後の次のステップとなるゼロ金利解除、すなわち利上げ開始時期やそのテンポについて見通しの別れにつながっている。11月の会合では、インフレについて「一時的」としてきた見解を変えるのか否かが注目されることになる。

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