13日は朝方発表された5月の米生産者物価指数(PPI)が前日の消費者物価指数(CPI)同様に鈍化を示したことで、米長期金利が前日に続き大きく低下。しかしNY金の反応は鈍くアジア時間から水準を切り下げる流れは止まらなかった。
終盤には一時2310.90ドルと、前週発表の5月の雇用統計の大幅上振れを受け売られた際の安値(2304.20ドル)に迫るのかという展開に。
結局、前日比36.80ドル安の2318.00ドルで終了した。終値ベースでは5月3日以来約1カ月半ぶりの安値水準となる。
この日発表された指標と市場の反応は金市場をサポートするに十分な内容と言えた。しかし、 直近の上昇相場一巡後のモメンタムが失われた状態にあるNY金は、均衡する水準を探る展開にある。NYコメックスの出来高も減少しつつあり売り一巡の印象だが、一方で値動きが荒くなる可能性もある。今週は取引時間中に2300ドル割れを試す局面を想定していたが、それは起きていないが戻りも鈍い。月末の米5月個人消費支出(PCE)統計あたりまで調整局面という印象の展開と言える。
発表された5月の米PPIは、予想外の低下となった。市場予想が前月比でプラスのところ、0.2%下落と昨年10月以来、7カ月ぶりの落ち込みとなった。エネルギーと食品を除くコアも前月比横ばいと市場予想(0.3%上昇)を下回った。PPIの項目でPCE価格指数の算出に使われるいくつかのカテゴリーは前月比で低下。FRBが重視するコアのPCE価格指数が鈍化する可能性が指摘されている。
皮肉なことにFRBが高金利政策の長期化を示した足元で、インフレ指標は目立って鈍化を示している。
一方、6月8日終了週の新規失業保険申請件数は、前週比1万3000件増の24万2000件と、10カ月ぶりの高水準となった。市場予想は22万5000件だった。6月1日までの1週間の失業保険継続受給件数も3万件増加し、182万件と1月以来の高水準となった。いずれも労働市場の緩和を示す内容といえる。
こうした指標を受け米10年債利回りは、一時4.227%まで低下し、4.249%と3月下旬以来の水準まで低下した。それを好感しS&P500種とナスダック総合株指数が4日連続で終値ベースで過去最高値を更新している。株式市場も特定銘柄がインデックスを引き上げる状況が続いている。