先週末金曜日は、日本時間夜9時半発表の米3月の雇用統計を控え、夕刻5時30分からのラジオNikkei「マーケット・トレンド」出演だった。話の内容は、欄外のURLで聴いていただけます。今年に入って以降の金市場は、昨年と比べて打たれ強さというか、下値抵抗力を増しているが、それは昨年の売り手だったファンドが「売り」で“まとまっていない”ことがある。ここまでのところ、想定したほどには米国の回復が加速もしていないし、その中で調子のいいのは株式市場など資産価格くらいで、むしろ買われ過ぎが懸念される状況にある。その中で昨年のように金を売り込みにくい。
週末の雇用統計の結果判明後に取引を開始したNYダウもS&P500種もザラバ(取引時間中)の高値を更新した後は引けに値を消したのは、そういう警戒感の成せる業ということだろう。逆に金市場は、株式市場の“回復先取りの織り込み度合い”を逆にする形で、環境の悪化(すなわち回復加速)を先読みして売られていた。雇用統計では雇用者の増加数の市場予想は20万人ほどに集約されていたが、早い段階では19万人程度だったので、発表される周辺指標に明るいものが増えるに従い、予想値も上方修正されていた。ドイツ銀などは27万人台の予想となっていた。ここに至る株式市場の展開からは、春になり回復が加速する兆しの中で軽く20万人突破程度の見方は普通に広まっていた。
結局、20万人を境に19万人台は、この段階では文句のない結果にも関わらず見劣りする数字になってしまったということだろう。さらに、年始から減速を示すデータが続いたこともあり、今回の雇用統計が当面の節目、主要イベントということで、回復が確認され材料も一巡という点も株式市場の反応から読み取れた。
金市場も米国の金融政策がらみでは目先の山を越えたので手掛かり難となるが、どうしても気になるのがウクライナ情勢となる。
プーチン・ロシアは住民投票という民主的手法を巧妙に押し立てて準備を進めているように見える。住民投票前のクリミアでは、ウクライナ放送の電波は遮断され、ロシア側の流す放送のみ受信できる状態にしたうえで、ロシアに帰属替えした場合いかに生活が良くなるかという内容など、プロパガンダが蔓延したとされる。今ロシアがウクライナで進めようとしているのは、ロシア系住民の多い地域を自治共和国のような形にした上で、住民投票をへて住民の意思をたてに併合を進めようという戦略だろう。つまり、クリミアのように“求められたから併合した”という形を作ろうとしている。そこにウクライナ自体がオレンジ革命後に国家としてうまく回っていなかった現実が影を落としている。ヤヌコビッチ前大統領の市民生活とはかけ離れた超豪華な私邸をみても、汚職や腐敗が蔓延していたのは明らかと思う。
2014年4月4日 「マーケットトレンド」font>