本日の欧州中央銀行(ECB)定例理事会で大方の予想通り政策金利は据え置かれることになった。昨年秋にインフレ率が前年同月比で1%を割り0.7%になった際にデフレ傾向に危機感を強めたドラギ総裁は利下げに誘導した経緯がある。今回は2月にその0.7%と同率に再び落ち込み、さらに3月は0.5%となった。こうなると、さすがにデフレへの警戒がさらに高まり利下げ論議も高まると見られたが、結局日本時間の今夜終わったECBの定例理事会は利下げを見送った。
昨日ECBのコンスタンシオ副総裁が0.5%と低水準のインフレ率に懸念を示し、景気回復の足かせとなるとしながらも、ユーロ圏がデフレに陥るリスクはないとの見通しを示した。一方で、低インフレ状況が長引く可能性を示唆した。やっと成長率がプラスに転じるところが増えたユーロ圏では、1-3月期も景気が上向くにつれてインフレ率も上がると見ているようだ。
もちろん外からこうした状況を眺めている人々の方が警戒感は強い。元フランスの財務相のラガルドIMF専務理事はECBは追加の緩和策を実施すべきとしていた。確かに物価の上がり難い環境が長引くと、南欧などの重債務国にとって借金の返済が難しくなり、負担はグンとまることになる。ユーロ圏では、ここにきてユーロが対主要通貨で強めに推移していることで、輸入物価も低く抑えられていることから、本来政策目標に挙げることのないユーロ相場にもデフレ入り阻止ということであれば、何らかの措置を講じるべしとの声まで出ているほどだ。
金については、先行してウクライナ情勢の鎮静化やユーロ圏での利下げ見送り観測を受けて売られたものの、ウクライナ情勢が短時間で沈静化も読みにくくなっており、深押しは無いものと見られる。