ごはん、米(よね)、どんぶりの役割
松見歯科診療所の裏にある食養塾無何有庵には、よく小さなお客さまが訪れます。小児の歯科診療はだいたい2~3才から始まります。しかし、いきなり診療台に座れるわけはなく、まずは歯医者さんが怖いところではないことを知ってもらうことが優先です。親御さんと離れて、たった一人で見知らぬ機械の一杯ある診療室に立ち向かうにはどう考えても勇気が必要です。
そこでご対面するのが、犬の「ごはん」と「米」、猫の「どんぶりことドンドン」です。すでに涙目になっているちびっ子の顔を舐めてもらい、柔らかいビロードの毛をおそるおそるさわってみると、どんな子も少し心が緩みます。「ドンドン」の前で歯科衛生士のお姉さんの膝に座り歯磨きの練習がスタートします。最初は歯ブラシをくわえるだけ。次回は「ごはん」と「米」にご挨拶して、「ドンドン」と遊んでから歯ブラシをちょっと動かして・・。そうこうすると、ようやく診療台に座ることが出来るようになります。バキュームやエアで思いっきり遊んで器具にも慣れてきます。ようやく、「お口を大きく開けてぇ」と衛生士の呼びかけに安心して応えてくれるようになるのです。検診がおわったら、また無何有庵の住人たちに挨拶して上手くいけば『お砂糖の入っていないおやつ』をゲットできます。
子どもたちは、虫歯なんか作らなければ痛い思いなどすることがありませんから「歯医者は楽しいところ」と認識するのです。
「ごはんと米見せてぇ」「ドンドンと遊んでもいい?」「おばちゃんおやつ頂戴!」と今日も小さなお客様は元気にやってきます。おじいちゃんやおばあちゃん、パパ、ママについて来ては裏で遊んで帰る常連さんもいます。どうも無何有庵の犬や猫は、子どもたちの応援団として立派な役割りを果しているようです。