の「ロイヤル・アルバート・ホール69」を聴く。
これは凄い。この69年2月24日のライヴは、過去にも何度かCD化されているのだが、音質が致命的に悪かった。ブートレッグにももっとましなやつはある、という程度の代物だった。だが、この日演奏された「ストーン・フリー」が高音質で「炎のライヴ」というアルバムに収録されており、それを聴いた私は、モンタレーでの「ワイルド・シング」、ウッドストックでの「アメリカ国歌」に並ぶ、彼の3大名演の1つと言っていいのではないか、このステージ全体を完璧なコンディションで聴いてみたい、と思っていた。その夢がかなったわけだが、期待以上の出来だ。
まず、本番前のサウンド・チェックから3曲が収録されているのだが、すでに、凄い。観客がいない状態で、どうしてこれほど創造性に富んだフレーズを次々に生み出すことができるのか。ましてや、ライヴ本番は・・・・・。彼のギター・プレイを形容するのに、「空間にギターを使ってさまざまな色の絵の具をぶちまけているような」、という言葉が昔から用いられてきたが、同じ言葉を繰り返すほかない。
夢の実現は、喜びと同時に寂しさももたらす。これであと、ジミの音源で手に入れてみたいものは、70年9月3日のコペンハーゲンでのライヴだけになってしまった。果たして、完全版が出る日は来るのだろうか?