を読む。ヴィルヘルム・グレンベック著。講談社学術文庫。
ギリシア神話と違い、BL要素はまったくない。そのかわり出てくるのが、近親相姦。双子の兄妹や、父娘が交わる。その結果、シンフィヨトリ、ロルフ・クラキといった英雄が誕生する。
このことは、「北欧人の祖先は黒海沿岸に住んでいて、ローマ帝国の圧迫により、今のスウェーデンに移った」、という説の傍証になるかもしれない。アケメネス朝ペルシアでも、近親婚は一般的だったのだから。
10世紀ごろ、ノルウェーの国王がキリスト教を国教化しようとした時、オーディンやトールが現れて、さまざまないたずらを国王にしかけたという。ということは、その時点でまだラグナロク(神々のたそがれ)は訪れていなかった。もしかしたら、今でも北欧の神々はどこかで我々のことを見つめているのかもしれない。