「原始語のもつ逆の意味について」。
言語学者アーベルの論文からの引用。「古代エジプト語のかなりの数の単語は、正反対の二つの意味を持っている」。このことから、アーベルは主張する。「あらゆる概念は、その対立概念と双子の対をなす。人間は、最も古く最も単純な概念についても、対立するものとの対比においてしか獲得しえず、後から一方の概念だけを考えることを学んだ」。
人間の夢もこれと同じだと、フロイトは言う。夢の中ではひとつのものがそれと反対のものを意味することがある。「人間の心は極端から極端へと動く」というユングの主張も、ここから説明できるかもしれない。
たとえば大日本帝国は、実にスムーズに日本国へと移行したが、逆のパターンも当然ありうるだろう。