1日10ページくらいのペースで、やっと読み終えたにゃ。
内容は、同じパターンの繰り返し(有名な「ヴォルスンガサガ」を除く)。有力者の一族どうしの殺し合いが、延々と続く。10世紀頃のアイスランドでは、「人を殺したら死刑」などという法はなかった。すべて金銭的な和解で処理される。だが、それでは当事者の感情が収まらないので、結局殺し合いになってしまうのにゃ。
キリスト教が受け入れられる課程もおもしろい。ノルウェーのオーラヴ・トリュッグヴァソン王が布教のためにアイスランドに送った、サングブランドなる人物が出てくるが、「ラックサー谷の人びとのサガ」では逆らった人間を二人殺して逃げた荒くれ者になっている。それが、「ニャールのサガ」ではさまざまな奇跡を起こす聖人として描かれている。「ニャールのサガ」は、キリスト教化が進んだあとに書かれたのだろう。
ノルウェーでは、キリスト教は国王が強権的に国教とした(逆らえば死刑、手足の切断、財産の没収、国外追放)のだが、アイスランドでは違った。キリスト教徒と伝統的な神々(オーディン、トール・・・)を崇拝する人びとが対立し、決定はある首長に委ねられたのだが、キリスト教徒側が銀3マルクで買収して、アイスランドのキリスト教化が決まったという(「ニャールのサガ」)。
また、「トールとキリストが決闘する話」もちらっと出てきて、過渡期ならではの空気が伝わってくるのにゃ(「ニャールのサガ」)。
この他、数多くの幽霊話、魔法・・・が出てきて、タマらない人にはタマらないのにゃ。