リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

バッハのリュート作品(5)

2007年09月10日 11時02分48秒 | 音楽系
昨日の記事の冒頭、BWV995はBWV996の誤りでした。失礼しました。
さて、995と間違ったついでに次はBWV995に参りましょう。このシリーズの第2回目にも少し触れましたが、この曲の自筆譜のタイトルには「リュートのための作品、シュスター氏のために、J.S.バッハによる」(Pieces pour la Luth a Monsieur Schouster par J. S. Bach)とあるようです。(角倉一郎著「バッハ作品総目録」による)でも不思議なことに私が持っている自筆譜のコピーには、「J.S.バッハによる、リュートのための組曲(Suite pour la Luth par J. S. Bach)とありまして、シュスター氏のシュの字も出てきません。

私の持っている自筆譜のコピーは、現代ギター社臨時増刊名曲演奏の手びきPART3,J.S.バッハ/リュート作品の全て1981」と知り合いから頂いたものの2つで、どちらも同じソースで、ブリュッセルの王立図書館蔵です。

「バッハ総目録」によると自筆譜以外の五線譜による原典はありません。ということは私が持っている自筆譜のコピーが唯一のソースということですが、その第1曲目プレリュートのページの上には「組曲」となっていてシュスター氏の名前は出てきません。シュスター氏はいずこ?(笑)

考えられることは、プレリュードが書いてある前のページに、Pieces pour la Luth ...と書いてあるのかもしれません。こういうのって後から別の人(所蔵していた人とか図書館員)が書き加えたケースもあるんですけど、実際はどうなのでしょうか。シュスター氏の名前はこのBWV995を語る上で出てくるのですが、実際にバッハのまわりにいた人なのでしょうか、それともずっと後の時代の人でバッハとはつながりのない人なのでしょうか。