リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

贋作はなぜ魅力的なのか(7)

2021年02月11日 22時06分59秒 | 音楽系
また音楽の分野に戻りまして、今度はバッハについて見ていきましょう。

バッハは研究自体が19世紀に始まり、その研究史もあるくらいですから研究し尽くされているといいてもいいかも知れません。それでも10何年か前に新発見の曲がありましたし、有名なト長調とト短調のメヌエット、アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳にある曲、ト長調の方はラヴァースコンチェルトの原曲でもある曲、が実はペツォールトの作品だったというのはもう定説になっています。

このメヌエットはヨハン・セバスチャン・バッハの名前で紹介されていたからこそ有名になった曲と言えるでしょう。もし最初からペツォールトの名前で曲が紹介されていたら有名になっていなかった可能性もあります。でもバッハのお眼鏡にかなったくらいですから、いい曲であることは間違いありません。

これらのメヌエットは最初に紹介した人がいい加減だったから生じた誤解ですから贋作というのではありません。ではバッハの贋作というのはあるのでしょうか。