リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

武満徹没後25年

2021年02月27日 15時07分24秒 | 音楽系
今年は武満徹没後25年にあたります。私は彼の死を運転中のラジオで知りました。その10カ月ほど前に名古屋のしらかわホールでオール武満プログラムのコンサートがありました。(岩城宏之指揮オーケストラ・アンサンブル金沢)そのときに武満本人も来ていまして、休憩中にロビーに出てきていたご本人に挨拶をしたことを覚えています。「こんにちは」って言っただけですが。(笑)

会場は8分くらいの入りでしたが、それでも相当スポンサーが無理してチケットを売ったのか、あまりこの手のコンサートには縁のない方も聴きに来ていたみたいで、私のすぐ後ろの人が曲の合間に「あんまりよーわからん音楽だがや」と名古屋弁丸出しで話をしているのが聞こえて来ました。

武満徹は著書を通じても一般的に知られた存在でした。中学校の音楽ではノヴェンバー・ステップスが鑑賞曲になっていた時期もありました。これは邦楽器と洋楽器との邂逅というのがテーマであったようで、決して彼の音楽に主眼をあてたものではありませんでしたが、それでも日本中の中学生が彼の音楽を聴いていたのはすばらしいことだと思います。

没後はときどきオケのプログラムに乗ることがあるくらいですが、それでも彼の同時代の作曲家と比べたらはるかに恵まれていると言えます。題名のない音楽会というテレビ番組であれだけ知られていた黛敏郎は、残念ながら今やほとんどの人が作品はいうまでもなく名前も知らない存在になっています。でもジャイアント馬場の入場行進のテーマは多くの人に知られていますが。詠み人知らずの行進曲ですね。

昨年はベートーベンイヤーでいくつかコンサートが企画されましたが、コロナ禍のせいで今一つ盛り上がりに欠けました。今年の武満関連のコンサートはオンラインで企画されているものもあるようです。コロナ禍の終息に光が見てて来た昨今ですが、これからの10カ月を楽しみにしたいです。また9年後の2030年は武満生誕100年ですが、こちらも今から注目しています。