リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

EVは大災害に役に立つか

2023年02月04日 11時20分32秒 | 日々のこと
日本は「諸外国」と比べてEVの普及が遅れているというので、普及を促すためにEVの利点を挙げた記事や広告が増えています。ごもっともな内容もありますが、眉唾モノという感じのものもあります。

そのひとつに、EVで天災に強い社会、といった類いのものがあります。何か大きな災害があったとき、そこにEVがあれば電気の心配がいらない、ということをうたうヤツです。でも実際問題として大水害や大地震になれば、EVそのものもやられてしまって使えなくなるのではないでしょうか。

私が小学生の低学年の頃に罹災した伊勢湾台風の被害状況を思い出してみると、多くの家屋が水害に遭い1週間くらい停電していました。当時は自動車はまだ普及前でしたので被害の絶対数は少なかったと思います。今は多くの車が旧市内にあふれていますが、この大半がEVだったとして、水害後すぐには水が引かない状況で水没EVからの電力供給はさすがに無理でしょう。水は引いたけど、一旦水没したEVが蓄電してあった電力を家庭に供給できるのでしょうか。また地震のときも水害同様EV自身が大きなダメージを受け、電力供給どころの騒ぎではないでしょう。

この「EVで天災に強い社会」という話、実際に大きな災害にあった人が考えたものではないのでしょう。実際の大災害のときにたまたまEVが役だった数点の事例があったということで言っているのかも知れませんが、まぁ普通に考えてみれば中学生でもおかしいと分かりそうなものです。あるいはわかっていて人を欺くために言っているのかもしれません。

EVが災害後に役に立つのは大きな被害がなかったときです。伊勢湾台風レベルの災害を想定すると、水害が及ばなかった高台に住んでいる人も停電では困るでしょうけど、そんな時にEVがあってよかった!ということになるでしょう。でもその人たちはそれほど困ってない人たちです。一番困っている人たちには恐らく何の役にも立たないでしょう。