リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

Grey

2023年02月14日 12時43分06秒 | 音楽系
greyはgrayのことですが、主にイギリスで使われる綴りです。

ユーミンの作品にGreyという曲があります。2016年のアルバム宇宙図書館の一番最後の曲です。この曲は1987年にプロデュースした小林麻美のアルバム『GREY』のタイトル曲でそれをセルフカバーしたものです。

この曲はJ.S.バッハのオルガン小曲集の「われら悩みの極みにありて」BWV641(Wenn wir in höchsten Nöthen)を元に作られています。こういうやり方は昔の和歌で言う本歌取りということでしょう。今式だとトリビュートピースとかオマージュかな。ちなみにこの作品を盗作だとわめいている書き込みをネットでみましたが、ネットはこういうレベルの低いものもちゃんとしたものと同列に並んで見えてしまうのはネットの恐ろしさです。何も知らない人は、Greyはユーミンが盗作したんだと思ってしまうかも知れません。

で、この曲をリュート伴奏で歌えるようにアレンジをしてみました。今度のコンサートでは演奏する予定はありませんが、3月の豊橋でのコンサートではやってみようかなと思っています。

ユーミンによるトリビュート曲はオリジナルのメロディラインの大まかな骨格は同じですが、BWV641を全てなぞっているわけではありません。2つの部分を取り出しそれを2部形式に落としています。またバスのラインはオリジナルを少し残しつつもモダンに仕上げなおしています。アレンジは松任谷正隆氏によるものですが、私のアレンジでは彼の書いたバスは使わずオリジナルのものを作りました。いろいろ調理してもいずれもバッハの香りが色濃く漂ってますねぇ。



全パートは著作権の関係で掲載できませんので、私が書いたバスのみを掲載します。別にリュートで弾かなくても鍵盤楽器でもいけます。沢山テンションノートを入れて優雅に弾いて歌ってみてください。