リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

ペーター・クロートン

2023年06月24日 14時26分56秒 | 音楽系
ペーター・クロートンというリュート奏者は多分あまりご存じではないとは思いますが、バーゼル・スコラ・カントルムでリュートを教えている先生です。私が在籍していた頃は、ホプキンソン・スミスとペーター・クロートンがルネサンスとバロックのリュートなどを教えていました。あと中世リュートのクロウフォード・ヤング、客員でアントニー・ルーリーもいました。

ペーターは日本ではあまり知られていないかも知れませんが、沢山の業績を残しているひとです。彼はルネサンス・リュートは人差し指を伸ばして弾くフィゲタを使います。ホプキンソン・スミスの生徒の中でそういう弾き方の人もいました。(彼は今はスコラで教えているようです)

彼のバロック・リュート演奏です。

この演奏では、ヒストリカルな右手弾弦位置が興味深いです。

たまたまこの演奏クリップのコメントに楽器と弦のスペックが出ていました。楽器はマイケル・ロー(2017);まだ新しい楽器ですね。完成まで長く待っていたのかも知れません。弦は1-3: Aquila nylgut; 4-5 & octaves: Savarez KF; 6-11 basses: Aquila CDとありました。このスキームは私のものと同じです。(別に示し合わせた訳ではありませんが)

私は1-3にはガムート社のナイロンを使ったりオクターブにはナイルガットを使っていますが、基本的には同じ方向のスキームです。なおSavarez KFはカーボン弦です。11コースやバスライダー13コースだと現在入手できるバス用のガット弦では音が前に出てきません。バス弦にアキラのCD弦を使うのは現実解でしょう。