リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

略奪品返還

2023年06月28日 15時40分54秒 | 日々のこと
最近欧米で略出す美術品を返還する動きが出てきているようです。かつての欧米列強が植民地支配していた地域から美術品なんかも持ってきて、著名博物館に展示しているのを本来の場所に返還するという動きです。

アメリカのスミソニアン博物館もそういう動きを見せている博物館のひとつですが、航空ファンとしては同博物館に所蔵されている数々の日本機(スクラップも多数あるらしいです)も日本に返してくれるということなんでしょうか。

アメリカとかイギリスにある日本の大戦機は日本が戦争に負けたので持っていってしまったものです。こういうのを鹵獲(ろかく)というらしいですが、当然ながら敗戦国日本にはごくわずかしか残っていません。本来は日本の富で製造したのですから返してくれ、といってもいいような感じもします。

ただいざ返してもらったとしてもどこにそれらを保管しておくかが大問題。以前アメリカの大戦機コレクターから飛行可能な陸軍4式戦闘疾風を日本に返還してもらったことがありました。1973年のことです。航空自衛隊入間基地でデモフライトもしたそうです。でも飛行可能状態を維持できる機関が存在せず飛行不可の状態に陥り、現在は知覧特攻平和記念館に展示されています。

こんなことになるくらいなら返してもらわなかった方がよかったのかも。スミソニアンにある機体とかイギリスのコスフォードやヘンドンにある機体(陸軍百式司令部偵察機、五式戦闘機)なども彼の地で丁寧に保管、整備されています。本当は日本に返してもらって然るべき機関によって然るべきステイタスでもって保管展示してほしいところですが、残念ながら現在でもそれは難しいようです。