リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

BWV1003のリュート編曲(11)

2024年02月01日 14時26分50秒 | 音楽系

どういうところにバスを入れるか、和音にするかなど、リュートにとって自然な響きになるのかは、ヴァーチャルで思い浮かべるより実際に弾いてみないといいアイデアがでてきません。幸いなことに本編曲では原曲と同じイ短調ですので、バッハの自筆譜を見て何度も弾いてみることが必要です。音は実音より1オクターブ高い記譜になるので少し面倒かもしれませんが、通奏低音をする人であればト音記号の楽譜を1オクターブ下げて弾くのは朝飯前でしょう。

まず冒頭のバスの扱いを見てみましょう。1小節目の3拍目からはオクターブさげていますが、2小節目の1拍目は1オクターブ上に行きます。これはその次のバス、レ♯とのつながりをよくするためです。3拍目にはミを補いました。

どういうポジションで音を出すかとかスラーをどう付けていくのかはアーティキュレーションとの関連でなかなか決めていくのが大変です。(まぁそこがやりがいのあるところですが)装飾はリュート的な記号を付けています。バッハが指示した箇所とは異なるところにも着けました。2小節目の冒頭のd minorの和音はアッチャカトゥーラを入れました。このあたりの判断は奏者の姿勢を示すものでとても重要なことです。