リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

BWV1003のリュート編曲(16)

2024年02月19日 15時14分45秒 | 音楽系

45小節目から始まるあたらしいエピソードはイ短調なので3コースの開放弦(ラ)を使ってとてもスムーズに演奏できますが、これが53小節目から同じエピソードがホ短調に転調し、一転して左手の押弦が難しくなります。バロックリュートにはミの開放弦がないからです。オリジナルのヴァイオリンだとラ(2コース)もミ(1コース)も開放弦があります。やはりこの曲はヴァイオリンに都合良く弾けるよう作られた曲だということがわかります。

このホ短調のエピソードをバロックリュートで弾くとなるとローポジションで弾くか、5ポジションで弾くかが考えられますが、ローポジション(2ポジ)だと1コースで弾くシの音が出てくるのでかなり左手のスパンがないと難しいです。

2フレットのバレをキープしつつ小指が1コースと3コースの6フレットまで伸ばす必要があります。私の場合あと5ミリ小指が長いか手の幅が広かったら楽にできるのですが・・・練習を重ねれば楽にできるようになる可能性はあるかも知れませんが、この部分は5ポジションでいくことにしました。

ただその場合、イ短調のエピソードと音色がガラッと変わってしまうのが難点。それに押弦自体もより難しくなってしまいます。小指さえ楽に届くといいのですが。