リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

ミキシングのバランス問題_ベースライン編

2024年02月15日 14時55分44秒 | 音楽系

ソロでリュートを弾くときは椅子に座ればあとは弾くだけですが、それでもステージのどの位置に座るかを決めるのは結構重要です。ステージの後ろよりなのか前よりなのか、それが問題です。

一方アンサンブルだと編成によってリュートはどこにすわるかはなかなか悩ましい問題です。座る位置が悪いとアンサンブルのバランスがわるくなるからです。

録音の場合だとバランスは後で調整ができ「理想」のバランス(音量的にも音の分離的にも)を作ることができます。ポップスの録音の場合は昔の美空ひばりみたいに全員集まってセーノで録ることはほとんどないようです。

各アーチストが決められた日程で所定のトラックに録音して終了と言うことになります。このあとはエンジニアがミキシングやマスタリングをして完成品となります。この工程は録音の品質を決めるばかりが音楽に対する姿勢も示すことになる極めて重要なものです。

私は古楽器のリュート奏者なのでポップスの事情に詳しいわけではありませんが、車の中では1/3くらいはポップスを聴いています。最近聴いた藤井風のアルバムLOVE ALL SERVE ALLですが、ちょっと気になるのはベースのラインがはっきり聞こえないことです。カーステレオではきちんとは聞こえません。そこそこのカーステレオなんですが・・・自宅のステレオセットで聴いたり、DAPをShureSE845(第2世代)につないで聴くとさすがにベースラインはたどれます。でもなんかぼやけた感じです。

勿論プレイヤーはきちんと演奏しているのですが、これはミキシングやマスタリングのエンジニアが多分ベースラインを意識していないからではないかと思います。ミキシングやマスタリングのエンジニアはアーチストでなければなりません。ちなみにブルーノ・マーズの24K Magicというアルバムを聴いてみましたら、今風のベースですがカーステレオでもきちんとベースラインは聞き取れます。

ここで聞こえるとか聞こえないといっているのは鳴っているかそうでないかではなく、楽曲としてベースラインがたどれるかどうかという意味です。LOVE ALL SERVE ALLでは低い音はよく鳴っているのですが、もこもこいっている部分が多く、ベースラインとして聞き取りにくいです。

これに対しては一般のリスナーではベースラインそのものより低い音に包まれる方が重要なんだという意見もあるかも知れませんが、でもこれではねぇ・・・2枚のアルバムの比較をしただけなので、たまたま全然違う傾向のミキシングにあたっただけなのかも知れず、日本はダメそれにひきかえアメリカのエンジニアはなんて言い方はしませんが。