リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

無理な曲を弾く(1)

2024年02月06日 22時23分18秒 | 音楽系

私が中学生や高校生の頃桑名市民ホールなどで時々ギターの発表会がありました。曲目はアストリアスとかアルハンブラとかソルのなんとかとかバッハなんかもありました。なかなか立派な曲がならんでいました。でもどれひとつとしてまともな演奏はありませんでした。

アストリアスを弾こうとしたお兄さん、そもそもテンポ遅すぎて曲になっていません。とうとう途中で止めてギターを抱え上げあちこち眺め始めました。ギターが悪いのでどうもオレはうまく弾けんのや!てアピールしていたみたいでした。

この当時は禁じられた遊びが弾きたくてクラシック・ギターを弾き始めた人がわんさかいて、今では信じられないくらいのブームでした。でもきちんと勉強した人はほぼ皆無で皆我流、いわゆるギター教室も桑名にありましたが、先生も我流。我流がいけないといっているわけではありません。先生につかななくてもちゃんと弾ける人はごく稀ですがいるにはいますから。でも半世紀以上前の桑名でクラシック・ギターを弾いている人のレベルは恐ろしく低かったです。そうそうまだチューナーもありませんでしたから、そもそも調弦がむちゃくちゃでした。

今もギターやリュートの発表会とか交流会での演奏を聴きに行くことがあります。まぁさすがに「アストリアスのお兄さん」みたいな人はいませんしニューテクノロジーのチューナーのおかげで調弦が無茶苦茶狂っているケースはありません。でもチューナーがあっても調弦は正確とはいえないし、半世紀以上前とそう変わっていないと感じる演奏もあります。

この手の発表会ではなぜかバッハが大人気です。いつだったか、プログラムの演奏曲の作曲者リストを作ってみたことがありましたが、何とバッハが最多でした。先日も某県某市で発表会がありリサイタルの宣伝も兼ねて聴きにいきましたが、半世紀前の桑名コンサートと大差ない演奏が続き正直聴いているのが少し苦痛になりました。やはりバッハも演奏されていました。音楽教室の子供ピアノ発表会でももう少しマシでしょうに。