リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

BWV1003のリュート編曲(17)

2024年02月21日 10時19分24秒 | 音楽系

このフーガはほとんど原曲の通り(実音は1オクターブ下ですが)弾けますが、91小節目のバスにテーマが現れる部分は、バスをオクターブ下げてリュートのバス弦(開放弦)で弾けるようにしました。さらにその部分の上声部のヴォイシングもリュートに適したように変えました。バッハは限られたヴァイオリンの弦を巧みに使っている部分ですが、巧みすぎてリュートに置き換えられなくなっている部分です。

終わりの方の272小節からバスに導入されるテーマは、オクターブ下げるべきでしょうけどヴァイオリンの音域の関係でオクターブ上になっています。ここはリュートではオクターブ下げて弾けますので、バッハがやろうとしてもヴァイオリンの制約で出来なかったことをやってみましょう!余計なお世話かも知れませんが。

286-287小節の32分音符の速いパッセージはリュートではスラーと開放弦を上手に組み合わせると意外にも結構素早くスムーズに弾けます。もっとも練習を積み重ねる必要はありますが、リュートの技術の範囲内です。

最後の和音は、オリジナルでは乖離位置のA Durの和音です。このままでも特に問題なくバロックで弾ける和音ですが、私は個人的にこの乖離位置の和音があまり好きではありません。といいますのは5度音が弦の関係で妙に前に出て来てしまうからです。G Durの場合も同様です。ですので、あえて5コース2フレットのミを1オクターブ上げて2コースで弾き密集位置にしています。