リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

紙のカタログ廃止

2024年02月03日 15時39分43秒 | 日々のこと

トヨタ自動車が紙のカタログを廃止していくようです。恐らく他のメーカーも追随していく可能性があるかも知れません。

車のカタログはとても厚手の上質紙を使って立派なものが多いですが、考えてみればそれをずっと保存しておくようなことは(私の場合は)なく、しばらく眺めた後に捨ててしまいます。これは資源の無駄遣いで、紙カタログがなくなればメーカーとしても経費が節約できるというものです。

となると販売店にはiPadみたいな端末があってそれで見られるようにしておくのでしょう。ネットではすでにPDF版のカタログがずっと前からアップされていますので、それを見るような感じになるんですね。紙のカタログを見るときのわくわく感がなくなるのはちょっと寂しいですが、これも時代の流れなんでしょう。

ただひとつ個人的に困ることがあります。実はリュートのナットの高さを調整するためにトヨタの紙カタログを入れる封筒の紙を使用しています。そう滅多に使うものではありませんが、新しい楽器を買ったときなんかは弦高が低すぎて弦がフレットに当たるノイズが出るときがあります。そんなときはフレットのサイズダウンをするかナットの高さをほんの少しだけ上げると解決することが多いです。やや厚手のトヨタの紙カタログ封筒の厚みは0.15mmでこの作業にぴったりです。

フレットはガット弦をネックに巻いて構築するのですが、直径が0.05mmまたは0.10mm違いのものを太い順に1フレットから順に9フレットまで巻いていきます。トヨタの紙カタログ封筒の紙をナットの幅に切って、それをナットの下に挟みますとナットの高さが0.15mm上がります。これでもだめなときは2枚重ねて0.30mm上げます。もともと狂いまくっている楽器でない限りこのくらいで大体フレットに当たらなくなることが多いです。この位のナットの高さ上昇であれば演奏感覚としてはほとんどナットが高くなったという感じはないです。

ルネサンスリュートのように弦長が50数センチという楽器であれば、フレットの高さは大体おなじでも何とかなることも多いですが、弦長の長いバロック・リュート、テオルボなどの場合だとフレットの選択はよりシビアになりそれに伴いナットの高さはあまり低いと使いものになりません。大体製作家が調整したナットの高さより高くすることはあっても低くすることはないものです。(低めのナットは紙を挟むだけで高さ調整できますが、高い場合はナットを削らなければならないからです)ブリッジ側も同様です。低くすれば弾きやすくなるかも知れませんが、それ以前の問題、音がフレットにあたってノイズ出まくりになるという問題が発生します。

というわけで、紙のストックはまだありますが、今後のためにトヨタの販売店に走らねばなりません。