院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

複数回受験で「まぐれ」は減るか?新しい入試制度

2013-11-01 06:00:50 | 教育
 先日、大学入試での面接重視を批判した


(木浪学園ホームページより。)

 このたびの大学入試改革案では、複数回受験を可能にするという。何のために複数回受けさせるのだろうか?実力が出し切れずに受験に失敗する学生を救おうとするためか?「まぐれ」で受かる学生を減らそうということか?

 A君が入試に受かる確率を60%(5分の3)、B君のそれを40%(5分の2)としてみよう。

 複数回受験を、簡単のために2回としよう。2回のうち少なくとも1回合格すれば入学できる。ということは、入試に受からないのは2回とも落ちた場合だけである。

 A君が2回とも落ちる確率は25分の4である。B君のそれは25分の9である。ということは、少なくとも試験に1回受かる確率(合格する確率)は、A君は25分の21、B君は25分の16となる。

 つまりA君とB君の合格の確率の比は、21対16となる。もともとの確率の比は3対2だった。両辺を7倍すると、21対14となる。つまり受験回数を2回にすると、B君の合格の確率はA君に近づく。

 受験回数を増やせば増やすほど、B君が合格する確率はA君に近づく。A君とB君の合格の確率が限りなく近くなっていく。つまり「まぐれの女神」はB君にほほえむのだ。

 というわけで、「まぐれ」を減らすつもりで受験回数を増やしたら、ある学生と、それより落ちる学生の合格確率の差がなくなってしまった。思惑とは反対に「まぐれ」が増えてしまうのだ。それでも政府の教育再生実行会議は受験回数を増やそうというのだろうか?

(私は数学の専門家でもないし、統計学・推計学はしばしば誤謬を招くから、ここでの推論は間違っているかもしれない。誤りを指摘していただけるとありがたい。)