院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

滋賀医大・ディオバン臨床試験問題

2013-11-02 06:06:24 | 学術
 滋賀医大のディオバン臨床試験について、同大の調査委は「論文のデータの10%くらいがカルテの数字と一致しない」と発表した。しかし、調査委のこの発表には疑問が残る。


毎日JPより。謝罪する滋賀医大・馬場学長(手前)。ただし、馬場氏は不正があったことについては謝罪していない。「世間を騒がせたこと」を謝罪しているのだ。)

 なぜなら、この欄で再三言ってきたように、データが書かれているカルテが、ディオバン投与群のカルテか、非投与群(対照群)のカルテか、調査委には絶対に知りえないからだ。知りえないことを発表するとは、こんどは調査委がでっちあげをやっていることになる。

 もっとも、柏木病院長がこの臨床試験の「元締め」をやっていたそうだから、柏木氏がデータを調査委に渡した可能性がある。そうだとすると、同じデータについて柏木氏と調査委の解釈が違ってきたことになる。

 柏木病院長がデータを調査委に提出したとしたら、柏木氏は善意である。そのデータを調査委が黒と判定したなら、柏木氏が怒るのは当然だろう。

 同じデータなのに解釈が分かれる事態は科学論争でしばしば生じる。それを解決できるのは、本当は歴史の風雪しかない。

(調査委はデータを柏木氏からもらったのなら、その旨はっきり世間に公表するべきだ。そうでないと、私のような疑問を持った者たちは、調査委がどうやって問題のカルテを同定しえたか、ずっと疑いを持ち続けるだろう。)