院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

日本料理は素材の味を生かすと言うけれど

2013-11-08 06:30:36 | 食べ物
 むかし、フランスのある宮廷料理人が「私はここにある鞄でも料理してみせる」と豪語したそうだ。鞄は牛や豚の皮でできているから、それを煮たり蒸したりすれば、それなりの料理になるということだろう。

 日本人は、このようなセンスを嫌う。日本料理は素材の味を生かしてこそ本物の料理で、鞄の皮に強引に手を加えるようなのは邪道だと、たぶん日本人なら言う。

 日本料理がこのほど世界遺産に推挙されたのは、素材の味を殺さぬようになるべく手を加えないところが売りになったのだろう。

 だが、よく考えてみれば、素材の味を殺す料理なんて、あり得ないのではないか?


(CooPa ホームページより。素材の味を生かす日本料理。)

 私は辛いのが苦手で、麻婆豆腐や担担麺が食べられない。同様にキムチも苦手だ。だが、このほどキムチも世界遺産に推挙されるという。

 キムチにはいろいろな種類がある。白菜のキムチは定番だが、大根のキムチ、キュウリのキムチというのもある。私はいずれも食べたことがあるが、白菜と大根とキュウリの区別がつかないということはなかった。

 つまり、キムチのような辛い料理でも(辛くないキムチもあるらしいが)、素材の味が分からないということはなかった。どこの国の料理でも、わざわざ素材の味を消したりはしないのではあるまいか?

 日本料理が特に素材の味、素材の味と言い募るのは、日本人の我田引水というか自己満足ような感じがしてならない。季節感を重視するのは日本独特かもしれないが・・。