(食ベログより引用。)
幼いころデパートの食堂で食べるホットケーキが、なぜムラなくきつね色に焦げているのか不思議でした。家のフライパンでは必ずマダラになってしまうからです。
亡父の話では、分厚い銅板で焼くからとのことでした。確かに文明堂のどら焼きの実演販売では、分厚い銅板にヒシャクでタネを流し、正確な円形とムラのないきつね色が実現されていました。
ホットケーキにかける蜜ですが、普通の砂糖から作った蜜と明らかに違います。今ならサトウカエデからとったメープルシロップだと知っていますが、当時、母はそれを知らなかったので、家では実現できない蜜でした。
ホットケーキは良い香りがするのですが、添えられている蜜が少なくノドにつかえて食べにくいものでした。いま、パンケーキとしてカフェにあります。パンケーキはもっと薄く小さく作られていて蜜も多く、むかしのホットケーキよりずっと食べやすいです。
私が大学に入ったころは、まだパンケーキとはいわず、幼いころのと同じ分厚いぱさぱさしたホットケーキ(写真)がまだ喫茶店で出されていました。その、ぱさぱさ感は懐かしかったのですが、わざわざ感傷に浸るほどのお金はなく、食べやすい小倉トーストをもっぱら注文していたのでした。